お知らせ

Epoch AI 2025年インパクトレポート

原題:Epoch AI 2025 impact report

2025年、AIはその規模と重要性を増し続けた。AI企業の年間売上高は合計で数百億ドルに達し、各社は1棟だけでもそれに匹敵する費用がかかるデータセンターを建設している。主要なベンチマークを見ると、OpenAIのoNシリーズのような推論モデルが確立したことに支えられて、能力の向上は加速している。そして、能力の驚くべき普及も見られた。DeepSeek R1のような中国のオープンウェイトモデルが、ほんの数か月前に公開された米国のフロンティアモデルとの差を縮めたのである。

Epoch AIはこれに応えて、AIの軌跡についての最新情報を共有し、その意味を理解するという使命を推し進めるために、新たな取り組みを始め、既存の取り組みを拡大した。2025年の活動のまとめと、2026年の計画をお伝えできることをうれしく思う。

私たちは、計画をより野心的な形で実行するために300万ドルを募っている。寄付はウェブサイトから直接行える。多額の寄付やプロジェクトの委託を検討している方は、donate@epoch.aiまでご連絡いただきたい。

2025年のハイライト

AIデータセンターと計算クラスタ

Data centers

2025年、AIインフラは投資と社会の関心の大きな焦点になった。私たちは関連する二つの取り組みを進めた。まずGPU Clusters Data Explorer(当初の名称はAI Supercomputers)を作成し、続いてFrontier Data Centers Data Explorerの構築を進めている。後者は衛星データと許認可データを使って、計算資源、電力使用量、建設の時期を追跡するものだ。

なぜ重要か:AIの計算資源は、長らくAIの能力を左右する重要な投入要素である。大規模な学習を可能にするためだけでなく、さらなる進歩につながる実験を行うためにも欠かせない。大規模なデータセンターの建設を追跡すれば、AI開発の能力がどれだけ速く拡大しているか、そしてどこで限界に突き当たりうるかについて、早期の具体的な兆候が得られる。

Benchmarking HubとEpoch能力指数(ECI)

Benchmarking Hub

2025年の初めに、私たちはBenchmarking Hubを刷新した版を公開した。そのトップページは、2025年に当サイトで最も閲覧されたページだった。このページは主要なAIモデルを中心に、開発者や第三者が報告した評価と、Epochが実施した評価を集めている。

個々のベンチマークが飽和するにつれて、単一のスコアでフロンティアモデルを比較するのは難しくなってきた。これに対処するため、私たちは10月にEpoch能力指数(ECI)を導入した。複数のベンチマークにわたる性能を集約して、モデルの能力をより安定して測る複合指標である。ECIは1モデルにつき少なくとも四つのベンチマークのスコアを組み合わせ、全体では36を超えるベンチマークから値を取っており、ベンチマークの成績の予測指標としてよく機能する。この手法は、Google DeepMindの研究者との「ロゼッタストーン」共同研究の一環として開発された。

なぜ重要か:ベンチマークによる評価は、AIの能力向上を測る最もわかりやすい方法の一つだが、同時にすぐに役目を終えてしまう方法でもある。私たちの能力指数を使えば、向上のより大きな傾向がはっきり見える。たとえばECIは、2024年4月ごろにAIの能力が加速した可能性を見出すのに役立った。

FrontierMath Tier 4

FrontierMath Tier 4

私たちは、OpenAIの委託により、数学ベンチマークの新たな難易度区分であるFrontierMath Tier 4を完成させ、納品した。Tier 4は研究レベルの問題50問からなり、公開問題2問と、非公開の20問からなる保留セットを含む。問題は、世界有数の大学の数学教授や大学院の研究者を含むチームが作成したもので、深い数学的推論を試すよう設計されている。

Tier 4の問題の大半は、一流の数学者が参加したシンポジウムで設計または改良され、専門家のパネルが問題を検証・承認した。その結果、FrontierMath Tier 1〜3に比べて、より難しく、近道で攻略されにくい問題になり、プロの数学者をうならせるような真に優れた数学的推論を見分ける力が高まった。

なぜ重要か:FrontierMath Tier 4は研究レベルの問題を扱っているので、新しいAIモデルが数学研究に貢献する能力を追跡できる。このベンチマークはおおむね飽和しておらず、2026年1月時点で、すべてのモデルを合わせても、非公開の48問のうち解かれたのは17問だけである。

GATE(Growth and AI Transition Endogenous)モデル

GATE

私たちは、AIによる自動化が経済全体にどう影響しうるかを探るための枠組みであるGATEを公開した。GATEはマクロ経済モデルで、AIのハードウェアと研究開発(R&D)への投資が自動化と生産性の向上につながり、それがさらなる自動化への投資を可能にするという過程を記述する。このモデルは、自動化できる範囲の全体について不確実性がある条件のもとでも、経済の年間産出の5分の1以上がAIに再投資され、AIによって爆発的な成長が起こりうることを示している。

なぜ重要か:GATEは、AIによる自動化の影響を扱うマクロ経済モデルとして、私たちの知るかぎり最も包括的なものだ。今後の課題としては、現実のデータでモデルを較正し、方程式とパラメータを微調整して、AIの軌跡について現実的な予測を出せるようにすることが挙げられる。枠組みとしては、経済学者や研究者がAI開発の重要な力学を理解するのにすでに役立っている。

Data InsightsとGradient Updates

Data Insights and Gradient Updates

2025年、私たちはAIの進展のテンポが速まったことに応えて、二つの異なる形式で、より短い記事を毎週公開した。

Data Insightsは、一つの重要なグラフと要点を軸にした、短く信頼できるデータ調査であり、重要なAIの傾向について、手に取りやすく引用しやすい情報源となることを目指している。2025年に人気だったData Insightsには、推論実行の価格効率、消費者向けハードウェアで使えるAI、OpenAIによる推論実行と開発の間の計算資源の配分の分析がある。

ニュースレターGradient Updatesでは、個々の著者(ゲスト投稿を含む)が重要なAIのトピックについて最先端の論評を行い、(適切な場合には)思索的な考察にも踏み込む。取り上げたトピックには、DeepSeek v3が導入した技術革新の解説、ChatGPTのエネルギーコスト、推論モデルはどこまでスケールできるかの分析などがある。

なぜ重要か:読者は忙しく、AI業界の動きは速い。読者が私たちのデータを効率よく読み解けるよう、重要な知見と文脈がよく分かる簡潔な分析を、時宜を得た論評とともに公開している。これらの短い形式は、データベースや長めのレポートを補うものだ。

2030年のAI

AI in 2030

Google DeepMindの委託によるレポートで、私たちは学習のための計算資源、電力、データのスケーリングの既存の傾向を外挿し、2030年まで現在の進歩の傾向を維持するのに必要な投入量を見積もった。また、スケーリングのボトルネックになりうるものも検討し、いずれについても克服できる可能性が高いことを見出した。

そのうえで、これがソフトウェア工学、数学、分子生物学、天気予報の四つの分野での性能にどう影響するかを外挿した。

なぜ重要か:このレポートは、AIの軌跡についての私たちの現在の理解の中核的な特徴を示している。開発への投資と投入を指数関数的に増やせば、性能の大きな向上につながりうる、という点だ。この分析は、そうして向上したAIの能力が科学にどう影響しうるかについて、具体的な外挿と洞察を与えてくれる。

数字で見るEpoch AI

成果物

4

新しいData Explorer

2024年比2倍

38

新しいData Insights

2024年比2.7倍

40

Gradient Updates(ニュースレター)の号数

2024年比10倍

14

レポートと論文

2024年比30%減

5

公開したポッドキャストのエピソード

14

その他のインタビューと解説動画

2024年比7倍

リーチ

107

メディアやレポートでの注目すべき言及

2024年比2倍

987,000

ウェブサイトのアクティブユーザー

2024年比4.3倍

6,700

当サイトにリンクしているユニークドメイン

2024年比4倍

10,300

現在のニュースレター購読者

2024年比2.8倍

7,500

LinkedInの購読者

2024年比2倍

31,000

Twitterのフォロワー

2024年比2倍

財務と組織

1,030万ドル

寄付者と協力先からの調達額

2024年比40%増

500万ドル

支出額

2024年比70%増

21

常勤スタッフ

13

委託研究プロジェクトとコンサルティング

報道と引用

私たちの研究は、意思決定者に広く参照され、メディアでも取り上げられてきた。以下は注目すべき言及のごく一部で、AIをめぐる議論に私たちの研究が与えている影響を示している。

FEDERAL RESERVE (FEDS NOTES)The State of AI Competition in Advanced Economies2025年10月6日FINANCIAL TIMESInside the relentless race for AI capacity2025年7月31日IMFPower Hungry: How AI Will Drive Energy Demand2025年4月22日THE ECONOMISTWhat if AI made the world's economic growth explode?2025年7月24日INTERNATIONAL ENERGY AGENCY (IEA)Energy and AI2025年4月10日BANK OF ENGLANDAll chips in! Would a fall in AI-related asset valuations have financial stability consequences?2025年10月24日OECD.AI (AI WONK)Can mid-sized economies come together to build frontier AI?2025年12月16日U.S. CONGRESS / CRS (CONGRESS.GOV)Regulating Artificial Intelligence: U.S. and International Approaches and Considerations for Congress2025年6月4日TED TALKSThe AI revolution is underhyped - Eric Schmidt2025年10月17日AI 2027AI 2027 - Takeoff Forecast2025年4月1日

私たちは、政府、AI業界、投資家の組織とのあいだで有償の委託業務をいくつか引き受けた。AIの将来の理解を助けるとともに、寄付による資金を補うためである。

ベンチマークの面では、前述のFrontierMath Tier 4をOpenAIの委託で公開した。また、長期にわたるソフトウェア工学のベンチマークを開発するため、METRの資金による共同研究を始めた。モデルの評価では、xAIとGoogle DeepMindの委託により、Grok 4とGemini Deep Thinkの数学能力を詳しく評価した。

Google DeepMindはまた、研究レポート「2030年のAI」と、私たちとの共著による「ロゼッタストーン」論文も委託した。後者で私たちは、何年にもわたって異なるベンチマークの組み合わせで評価されたモデルについて、ベンチマークのスコアを集約し、ベンチマークの間で「翻訳」する手法を開発した。この共同研究は、私たちが独自にEpoch能力指数(ECI)を立ち上げる助けになった。

そのほかの有償の委託業務には、エネルギー分野の非営利団体EPRIの委託によるAIの学習の電力需要に関するレポート、AI IndexとAdvanced Research and Invention Agency(ARIA)の委託によるData Insights、そして英国のAI Security Institute、EUのAI Office、Sequoia Capital、Bridgewater Associatesへのコンサルティングがある。私たちのコンサルティングサービスについて詳しくはこちら。

イベントとその他の活動

この1年、私たちは研究を広め、AIについて社会に情報を伝えるために、数多くのイベントや無償の活動に参加した。

Aspen Institute Congressional AI Conferenceで米国の連邦議会議員に、また英国のAI directorateと米連邦議会のスタッフにブリーフィングを行い、Schmidt SciencesやInstitute for Progressなどの機関で講演した。

また、エネルギー事業者に関するEPRIの年次会議、Robotics: Science and Systems(RSS)会議、英国DSITの第1回AI Energy Council、Global Hive Datacenter Summit、The Curve、OpenAIのEconomic Research Conferenceなどのイベントにも参加した。

さらに、スタッフはa16zやDwarkeshなどの著名なポッドキャストにゲスト出演しており、私たちはジャーナリストとも定期的にやりとりし、取材を受けている。インタビュー、ブリーフィング、講演の手配はmedia@epoch.aiまでご連絡いただきたい。

読者・利用者の声

私たちは、私たちの研究の恩恵を受けている主要な関係者と定期的に対話している。2025年のインパクト調査では、この1年、私たちの研究が彼らの仕事をどう支えたかを尋ねた。以下はその回答の一部である。

CGのAI助成戦略にとっての重要な分かれ目の一つは、AIの到来時期(タイムライン)です。その判断材料にするため到来時期の分析を更新するにあたって、Epochのレポートはパラメータの推定値の情報源として頻繁に使ってきました。

Luke Muehlhauser

Coefficient Giving、AIガバナンス・政策担当マネージングディレクター

Epochはどの陣営からも厚く信頼されています。少なくともワシントンの連邦政策の世界では、「Epochが書いたものはいいね」と言う人の声を耳にしてきました……。ひどく縦割りになったAIをめぐる議論とは違って、Epochは「結論ありきの推論」をしているとは見られていません。

Abi (Abigail) Olvera

Golden Gate Institute for AI、リサーチディレクター

Epoch能力指数を使って、ソフトウェアの進歩の最近のペースを割り出しました。その値は、近く公開する私たちの到来時期+テイクオフのモデルにパラメータとして入力されています。

Eli Lifland

AI Futures Project、研究者

Epochは、私が最もよく引用する組織の一つです。

Markus Anderljung

Centre for the Governance of AI(GovAI)、政策・研究担当ディレクター

Epoch AIは、私が書くものの中でおそらく最も多く引用している組織です。

Tao Burga

Institute for Progress、テクノロジーフェロー

たとえば推論モデルの台頭やテスト時の計算資源の重要性の高まりをめぐるEpochの分析と論評は、私が政策分析やレポートで重要な傾向を思慮深く正確に描き出すのに役立ちました。

Caleb Withers

Center for a New American Security、テクノロジー・国家安全保障プログラム、リサーチアソシエイト

Google DeepMindでは、社内モデルの能力を把握するためにロゼッタストーンの手法を使っており、それがさまざまな意思決定を支えています。この手法を危険な能力の予測に広げる作業も進めています。実際に使うかどうかはまだわかりませんが、有望に思えます。

Rohin Shah

Google DeepMind、リサーチサイエンティスト

GPT 5 proにEpochの統計のCSVファイルをまとめて渡し、巨大なAnkiのデッキに変換させました。これは自分のメンタルモデルを磨くのにとても便利で、フェルミ推定をしたりニュースを文脈の中で理解したりするときに、いつでも正しい数字を手元に置いておけます。

Adam Kaufman

Redwood Research、技術的AI安全性研究者

私たちはドイツにおけるAIの計算資源戦略についてのレポートを書き、ドイツと世界のほかの国々の計算能力を比較するのに、GPUクラスタのデータベースに大きく頼りました。このレポートは、ドイツの政策担当の高官との議論の材料になりました。

Philip Fox

KIRA Center、ポリシースペシャリスト

私は講演でEpochの資料をいつも使っていますし、Stanford AI Indexの同僚たちも幅広く使っています。最近生み出されている知見には、とりわけ期待しています。

Rishi Bommasani

Stanford Institute for Human-Centered Artificial Intelligence(HAI)、シニアリサーチスカラー

ガバナンスと透明性

2025年の初め、Epoch AIは財政スポンサーから独立し、501(c)(3)の独立した非営利団体として活動を始めた。これにより、独自の理事会をもつことになった。現在の理事はTom Davidson、Ajeya Cotra、Jaime Sevilla、Maria de la Lamaである。

6月には、ディレクターのJaime Sevillaが「What is Epoch AI?」を公開した。AIの軌跡についての社会の理解を深めるという私たちの使命を示し、その使命が協力先やプロジェクトの選び方をどう方向づけているかを説明したものだ。また現在では、資金提供者、顧客、共同研究、利益相反についての詳しい情報を資金のページで公開している。こうした情報開示は、私たちの仕事をわかりやすいものにし、読者に対して説明責任を果たし続けるという私たちの約束の一部である。

2026年の計画

AIの分野は、規模、売上高、投資の面で成長を続けると私たちは予想している。そして私たちも、それとともに成長し、何が起きているのかを社会が理解できるよう、データと厳密な分析を提供していくつもりだ。

2026年の三つの重点は、データ事業の拡大、ベンチマークの開発と評価、そして研究とコンサルティングである。また、研究をより利用しやすくするため、ウェブサイトやその他の発信のリーチを広げる一連の取り組みも計画している。

データの収集・整理と分析は、Epoch AIの仕事の屋台骨である。2026年もデータ事業の拡大を続ける。

フロンティアデータセンター、AI企業、ベンチマークに関するData Explorerの拡充を予定している。また、2026年最初の公開であるAIチップの販売データを土台に、関係する主体ごとの計算資源を追跡する取り組みも広げる。

Epoch能力指数も発展させていく。特化した派生版、ベンチマークの難易度の格付け、そして支出が能力に与える影響についての研究を公開する予定だ。

その一方で、増え続けるAIモデルとAIハードウェアのデータベースの維持も続け、分野の急速な進歩に遅れないよう、どちらも刷新する。戦略上の優先事項はAIの最先端そのものである。とりわけ世界のトップクラスのAI組織による進展について最新の情報を保ち、フロンティアでないAI開発にはそれほど力を入れない。

検討中のほかのデータ収集プロジェクトには、次のようなものがある。Blue Roseとの以前の共同作業を土台に、AIの利用状況を知るための世論調査プログラムを拡大すること。そして、ファブや半導体製造装置など、AIのサプライチェーンのより上流の部分のデータである。新たなデータ源にすばやく対応し、AIの軌跡について洞察を与えうる情報源のうち、最も重要で、十分に扱われておらず、取り組みやすいものを優先することを目指している。

データを共有する主な手段は、毎週のData Insights、Data Explorer、そして近く公開するトピックページである。トピックページは、私たちの仕事を見つけやすく理解しやすくするための新たな旗艦的な取り組みの一つだ。各トピックページは、あるトピックについての最も重要なデータ、グラフ、刊行物、その他の資料を集め、手軽で利用しやすい概観にまとめる。

評価とベンチマーク

AIの能力の傾向を理解し監視することは、私たちのより大きな使命にとって欠かせない。2025年には、関連するプロジェクトに大きく投資した。Benchmarking Hubの大幅な刷新、FrontierMathの公開、そしてベンチマークの成績を集約する指標としてのEpoch能力指数の開発である。

2026年もこの取り組みを拡大していく予定だ。

経済的・科学的に重要なAIの能力について、空白を埋めるベンチマークの構築を続ける。2026年には、すでに二つの新しいベンチマークを開発中である。一つ目は、解を自動的に検証できる数学の未解決問題を扱うものだ。これにより、FrontierMath Tier 4が飽和しても数学的推論の進歩を追跡でき、AIシステムが研究の最前線での進展に貢献できるかどうかも試せる。二つ目のベンチマークはMETRと共同で開発しているもので、長期にわたるソフトウェア開発のタスクを対象とする。これらのタスクはバグ修正や最適化にとどまらず、ソフトウェアプロジェクトを丸ごと実装するAIシステムの能力を評価する。

また、他者が作ったベンチマークと私たち自身のベンチマークの両方で、モデルの評価も続ける予定だ。そして、測定したい幅広いモデルについてこれを行うのは難しいので、計画には、基盤となるベンチマーク評価のインフラへの大きな投資も含まれる。目標は、能力の傾向を追跡するうえで重要なすべてのモデルを、時機を逃さず評価することである。

最後に、特定のモデルや特定のベンチマークについての定性的なレポートも引き続き作成する予定だ。これには個々のモデルの能力の掘り下げが含まれる。ベンチマークのスコアにとどまらず、モデルがどのようにタスクを達成しているのか、どんな失敗のパターンが残っているのかを理解するものだ。また、見出しになる結果をどう解釈すべきかをよりよく理解するために、ベンチマークそのもののレビューも作成する。

研究とコンサルティング

これまでの仕事によって、私たちは、主要な関係者がAIの重大な進展を理解するのを助けられる独自の立場にある。今後も、コンサルティングと委託研究を通じて、政府、シンクタンク、研究系の非営利団体、投資家、モデル開発者などのパートナーと関わっていく。

調査を予定しているトピックには、計算効率の改善、ロボット工学の傾向、企業によるAI導入の指標、学習データのコストと構成、そしてAIの研究開発やAIのサプライチェーンのほかの部分の自動化など、AIによる加速のシナリオをめぐる証拠がある。

また、私たちの仕事を大局的にまとめたものも引き続き提供する。たとえば、今後数年の売上高と計算資源の主要な傾向を外挿するインタラクティブなモデルを公開し、私たちがAIの今後の「標準的な」軌跡と見ているものを探る予定だ。

毎週のニュースレターGradient Updatesでの論評や、ポッドキャストのエピソードの公開によって、議論を後押ししていくつもりである。

ウェブサイトと発信

データの見せ方と知見の伝え方の改善を続けていく予定だ。

ロードマップの一環として、ウェブサイトの見た目の大幅な刷新を計画している。そこには、AIの多くの重要な傾向を幅広い読者に紹介するトピックページが含まれる。

2025年には最初の5本のポッドキャストを公開した。主要なポッドキャストのプラットフォーム(Apple Podcasts、Spotify、Amazon Music、Pocket Casts、Overcastなど)とYouTubeで聴くことができる。並行して、YouTube向けにほかの種類の動画コンテンツにも手を広げた。その中には、問題作成に協力した数学者たちとのFrontierMathについての10本のインタビューと対談がある。2026年には、ポッドキャストや動画を増やし、音声・映像メディアの模索を続ける予定だ。

私たちの活動を支援する

私たちは現在300万ドルの資金調達を進めており、さらに1,000万ドルの資金があれば、活動の範囲を広げるために有効に活用できる。

以下は、資金提供者が見つかればすぐに取りかかれる、私たちがぜひ進めたいと考えている短期集中型の具体的な調査である。

  • 推論実行のコストの推移:ある能力水準に達するのに必要な推論実行のコストが、最近の速いペースで下がり続けるのか、それとも改善のペースが鈍化したり頭打ちになったりする可能性が高いのかを調べる。
  • 学習データの傾向とボトルネック:強化学習の環境や合成データを含め、学習データの供給量、構成、コストの傾向を整理し、データの不足が現在のスケーリングの傾向にとって決定的な制約になる可能性が高いかどうかを評価する。
  • AIの普及と導入:このニュースレター記事での作業と同様に、ただしより質の高いデータセットとより細かい切り口を使い、あるいは新たな世論調査やアンケートを実施して、AIの普及の解像度の高い全体像を描く。地域(中国やインドを含む)を調べ、導入の状況を用途別にさらに細かく分ける。

いずれも3か月の調査になりうるもので、AIの電力需要を調べたEPRIとの共同研究と同程度の範囲と深さをもつ、詳細なレポートにまとめる。これらのプロジェクトの実現にどう協力できるかを相談したい方は、donate@epoch.aiまでご連絡いただきたい。

より多額の寄付があれば、大規模な新しいプログラムを立ち上げたり拡大したりできる。たとえば、衛星によるフロンティアAIデータセンターの追跡を中国やほかの国々に広げること、フロンティアの能力を追跡する新しいベンチマークを開発すること、フロンティアのオープンモデルについてより一貫した評価を行うこと、そしてAIチップとデータセンターの建設にとっての重要な投入要素とボトルネックを特定するためにAIのサプライチェーンを詳しく調べることである。

寄付はhttps://epoch.ai/donateから行える。大口の助成について相談したい方はdonate@epoch.aiまでご連絡いただきたい。金額の大小を問わず、寄付を歓迎する。

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非公式の日本語訳公式ページ(英語):epoch.ai/latest/epoch-impact-report-2025