ニュースレター
AIが私の仕事を奪う日はどれだけ近いのか?
原題:How close is AI to taking my job?
Gradient Updates は著者個人の見解を述べるニュースレターで、Epoch AI 全体の見解とは限りません。
I. 街灯の下だけを探す
AIが私たちの仕事をこなせるようになる時期を、どうすれば予測できるだろうか。AI研究者はこの問いに、主に複雑なAIベンチマークを作ることで答えようとしてきた。問題は、このやり方には根本的な欠陥があることだ。
その好例が OpenAI の GDPval である。理屈の上では、米国経済の現実の幅広い職務タスクでのAIの性能をとらえる、よくできたベンチマークだ。ベンチマークのタスクは現実に即するよう細心の注意を払って作られ、数百人の専門家の労力と、おそらく数百万ドルが投じられた。史上最も費用のかかった経済学論文の一つと言ってよい1。AIによる仕事の自動化の先行指標になりうるベンチマークが一つあるとすれば、それは GDPval だ。
残念ながら、このベンチマークも、他のほとんどのベンチマークを悩ませているのと同じ問題に陥ってしまったようだ。公開から間もなく、AIモデルは人間の基準を上回った。GPT-5.2 は業界の専門家と同等に達し、Claude Opus 4.6 はさらに上をいっている可能性が高い。それなのに、AIが経済に与える実際の影響はいまだに小さい。このベンチマークは経済的な影響を十分に反映しておらず、自動化の先行指標としては力不足なのである。
これは OpenAI のせいというより、AIベンチマークが抱える根本的な難しさである。ベンチマークは、評価を自動で素早く定期的に実行できるように設計する必要がある。しかしそのせいで、扱えるのは「きれいな」、答えの決まったタスクに限られてしまう。だから、それを現実世界の雑然とした作業の流れや、輪郭のぼやけたタスクに一般化しようとすると、どうしても多くの問題にぶつかる。
これが正しいとすれば、問題は、私たちがおおむね街灯の下だけを探してきたこと、つまりベンチマークで測りやすいものの進歩ばかりを追ってきたことにある。しかし裏を返せば、街灯の外を探す方法もありそうだ。厳密さと評価のしやすさを少し犠牲にしさえすれば、その代わりに、本当の意味で現実世界のタスクがどこまで自動化されるかを、より良くつかめるのだ。
考え方はこうだ。人々がふだん行っている実際の仕事のタスクをいくつか選び、AIがそれをどの程度こなせるかを調べ、AIがどれだけ良くなっているかを定期的に確かめる。現実的なタスクでAIを主観的に評価するというこの考え方は、まったく新しいものではない。たとえばAIの安全性の分野では、モデルはよく「レッドチーミング」にかけられ、そこではリスクの水準を主観的に評価することが含まれる。現実世界のタスクでAIがどれだけ能率を高めるかを調べた研究も多い。それでも、この種の分析はもっと多く行われてよいと私は考えている。どのベンチマークも同じボトルネックにぶつかっているように見えるのだから、なおさらだ。だから私は、これは実際の仕事に対するAIの潜在的な影響を追う方法として過小評価されていると思う。
そこで、これがどう機能しうるかを示すために、今日の最良のAIエージェントに私の仕事をやらせてみることにした。
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II. 自分の仕事を自動化して消してみる(科学のために)
最初のステップは、Epoch で実際に人が行ってきたタスクを三つ選ぶことだ。選ぶにあたっては、自分の仕事にかなり偏らせた。長期にわたる計画と実行、創造性とセンスなど、AIの重要なボトルネックをひととおり網羅するものを選ぶのがよいと考えた。つまり、今日のAIにとっては比較的難しく、それでいて私の仕事では重要なタスクである。
そのうえで、各タスクについて30〜60分かけてAIに自律的に解かせてみて、現在のモデルがどこで力不足に見えるかを分析した。各タスクでAIの成績を上げるためにできることは、ほかにもたくさんあった。しかし、時間と仕事の制約の中で私が実際にAIをどう使ってきたかを、おおむね反映させたかったのだ。次に、AIが私の満足するレベルで(つまり、私が実際にその成果物を使いたいと思うレベルで)これらをこなせるようになる時期と、年末時点でAIがどの程度できるようになっているかを大まかに予測した。
これらを組み合わせれば、AIが私の仕事を奪う日がどれだけ近いのかについて、より具体的な像が得られるはずだ。結論は次のとおりである。
| タスク | 現状 | 予測:AIが最初の試みで成功するのはいつか |
|---|---|---|
| 複雑な経済モデルの対話型ウェブインターフェースを再現する | Claude Code は動作するインターフェースを作るが、事実の誤りや欠けている部分だらけで、使い物にならない。 | 2026年末までに10%、2027年後半までに50%。 |
| 与えられたデータを分析し、その結果について公開に値する記事を書く | Claude Opus 4.5 の記事は表面的には問題なく見えるが、文体や事実の正確さなど、多くの点で「ずれて」いる。問題が多く、一から書き直したほうがましだと思えるほど。 | 2026年末までに5%、2028年後半か2029年初めごろまでに50%。 なお、ここでの「最初の試み」には、Epoch のスタッフが2回コメント・フィードバックを返すことを含む。 |
| 記事を Google Docs から Substack と Epoch のウェブサイトに移す | ChatGPT Atlas は記事の一部を Substack に移すことに成功するが、脚注でひどくつまずく。 | 2026年末までに、非常にゆっくりとなら全体をこなせる確率が10%。2028年半ばまでに50%。 |
指定の時期までにAIが所定のタスクを成功裏に完了できると私が考える確率。タスクが「完了」したとみなすには、最終成果物が、私が実際に使いたいと思うほど良いものでなければならない。タスクはAIが自律的に行う。ただし2番目のタスクだけは、2回のコメントを与える。
はっきりさせておくと、これは私が2029年初めまでに仕事を失うと予想しているという意味ではない。それについては後で詳しく述べる。まずは、各タスクの詳細を見ていこう。
タスク1:経済モデルの対話型ウェブインターフェースを再現する
1年ほど前、私たち Epoch は、AIによる自動化の複雑な経済モデルを公開し、GATE モデルと名づけた。ここで「複雑」というのは、パラメータが40個を超え、勾配降下法のぎこちない変種で解き、シミュレーションを特に不安定にしかねない追加機能をいくつも備えている、という意味だ。
公開に合わせて、私たちは対話型のウェブインターフェースも用意した。ユーザーは自分でパラメータを入力し、経済成長がどれほど激しくなりうるかを示す凝ったグラフをいくつも眺め、解説文を読むことができる。要するに、実装するのは決して簡単ではなく、フロントエンドも朝飯前というわけではない。
実際の画面はこうだ。

そこで最初のタスクはこうなる。AIモデルは、公開済みのウェブ版の試用環境と同じくらい良い、動作する複製を作れるだろうか。2 AIには学術論文と、解説文を多く含む元のウェブページを参照させる。また、どのグラフを作る必要があるかの説明と、各パラメータの範囲も与える3。
私はこれを Claude Code に実装させた。主な理由は、コーディングに最適なツールだと広く見なされていることだ。最初は、論文のPDFを丸ごと投げ込むとメッセージが長すぎると文句を言われたので、arXiv のURLを渡した。すると Claude Code はしばらく論文中の数式を調べ、手早く HTML と JavaScript を書いた。その結果がこれである。

最初の見た目はなかなか格好よく、ウェブサイトとして動作しているのも確かだが、そこから先は下り坂だ。最も重大な問題は、モデルの予測の多くが公式のシミュレーションと大きく異なることで、再実装のどこかがおかしくなったことをうかがわせる。たとえば、GWP(世界総生産)の変化は、実際の GATE モデルの基本シナリオで見られるよりもはるかに小さい4。もう一つの問題は、ウェブサイトに欠けている機能があることだ。たとえば、異なるパラメータ設定を比較できる「比較モード」がない。
大きな問いは、将来のAIシステムがこのタスクをどの程度こなせるかである。これはいくつかの方法で考えられると思う。
一つは、METR のタイムホライズンのトレンドを考えることだ。これはかなりはっきり定義されたソフトウェアのタスクなので、このトレンドがそれなりによく当てはまると思う。年末までに、AIは長さおよそ1日分のタスクを50%の成功率でこなせるようになると予想される5。比べると、このタスクは、論文をよく知っていてウェブインターフェースをいじって確かめられる人でも数日はかかると推測する。したがって、このタスクは12月までに解ける可能性も十分ありそうだが、そうならない可能性のほうが高い。
それでも、これは動く部品の多い、扱いにくいタスクだ。おそらく最も難しいのはバックエンドで、数値の安定性の問題を伴う細かな最適化が含まれる。正しく仕上げるには、おそらく多くのグラフとにらめっこしながら試行錯誤を重ねる必要があるだろう。フロントエンドにはフロントエンドの難しさがあるが、この点では Claude Code の実装はそれほど悪くないと思う。
これらを合わせると、年末までにモデルが現在公開中の版と同じくらいうまくこれを実装できる確率は約10%だと思う。私の考えでは、失敗するとしたらおそらく、経済モデルの動態を実装するコードのどこかでモデルがしくじるか、多くの人がウェブサイト上でさまざまなことを試さないと見つからない、わかりにくいバグがあるためだろう。こうした問題を直すにはもう少し時間がかかり、2027年後半か2028年初めまでには、このタスクが解ける見込みはおよそ五分五分になると思う。
だから私の推測では、少なくとも中核的な機能に関しては、Epoch の分散学習シミュレーターやフロンティアのデータセンターのウェブページのような、同程度に複雑な対話型ウェブインターフェースを、うちのウェブ開発チームがこれからも作り続けることになる。そして、同じくらいの難しさの仕事をしている人も、おそらく同じ状況にあると思う。
タスク2:記事を書く
では二つ目のタスクに移ろう。AIはこのニュースレターの記事を書けるだろうか。
これを試すため、Claude Opus 4.5 に、私の過去の記事の一つを書かせてみた。2025年のAIの進歩を人々がどの程度うまく予測したかをまとめた記事である(つまり Claude は記事のアイデア自体を考える必要がなかった)。調査を実施した AI Digest の質問と判定結果の一覧、すべての結果を渡し、私たちの文体をつかむために過去の記事を見るよう頼んだ6。
最初の試みは、あまり良いものではなかった。グラフも関連する情報源へのリンクもなく、調査の質問のいくつかはまるごと抜け落ちていた! 文体はやや硬く、構成もおかしく(たとえば調査回答者の属性が記事の終わり近くに置かれていた)、結果の説明にも十分な根拠がなかった。たとえば以下は、サイバーセキュリティのベンチマーク Cybench での進歩を予測者が大きく過小評価した理由を Claude が説明したものだ。
サイバーセキュリティの評価は、コーディングや数学のベンチマークほど世間の注目を集めておらず、予測者はこの分野の進歩の速さについて、それほど確かな見取り図を持っていなかったのかもしれない。また、エージェント的なタスクでの能力向上が、予測者コミュニティ全体が認識しているより速く進んでいる可能性も示唆している。
私の見る限り、この段落の主張には一つとして根拠がない。Claude がどうやってこの結論に至ったのかは、聞かないでほしい!
とはいえ、ゼロショットの出来だけで判断するのは少し不公平だ。私自身も書くときには、たいてい他の人から役に立つコメントをたくさんもらっている。そこで Claude に2回にわたってフィードバックを与えた。合計で約40件、それぞれ1〜2文程度のコメントである。たとえば次のようなものだ。

残念ながら、これで解決した問題もあった(グラフやリンクの追加など)ものの、新たな問題が出てきた。Claude は、グラフ内の適切な位置に文字を置くといった、ふつうなら何度か手直しを重ねて片づけるような細かな図の問題を解決できないことがあった。そうした問題が記事のあちこちに散らばっていた。私がフィードバックした後でさえ、文章はぎこちないままで、不正確な点が多く、用語の説明も私の満足のいくものではなかった。
結局、記事は読めないほどではなかったが、小さな誤りがあまりに多かったので、振り出しに戻って一から書き直したほうがましだと感じた。というわけで、少なくとも近い将来は、私が記事を書き続けることになる。
では、その「近い将来」とは、いったいどれくらい近いのか。何回かコメントを返した後で、このくらいの複雑さの記事を一本まるごと、私が本当に気に入るように書けるようになるのは、実質的にいつだろうか。タスク1とは違って、進歩を予測するために外挿できるはっきりしたトレンドは見当たらない。そのため、昔ながらの「雰囲気にもとづく予測」に頼るしかなさそうだ。
一方では、AIがこのタスクでごく近いうちに大きく上達すると予想する理由がいくつもある。一つは、AIの文章がこの数年で格段に良くなっていることで、それが今後も続くと予想するのはまったく突飛なことではない。GPT-4.5 のようなモデルに見られるように、研究所は文章力を高める取り組みも進めており、文章力のベンチマークを作る人も増えている。
さらに、記事を書くというタスクは、文章そのものの質だけの問題ではない。多くの点で、Claude のボトルネックは実のところ、データ分析やグラフ作成、そして私の文章の好みについての文脈の不足のほうにあった。しかし、今後数年でAIは、コーディングに関わるほぼあらゆる種類のタスクで格段に上達し、継続学習の度合いも高まると予想している。そうなれば、こうした壁を乗り越える助けになるだろう。私の文章の好みや Epoch の世界観についての文脈をAIに与えるのは、そう難しいことではないはずではないか。
他方で、少なくともコーディングのような分野と比べて、進歩が遅くなる理由もある。一つには、研究所はおそらく、文章よりも儲かるもの、たとえば金融やコーディングに力を入れるだろう。米国にはソフトウェアエンジニアの職が約170万あり、給与の中央値は13万3,000ドルであることを考えてみてほしい。これは、文章を書く職の総数(約35万)とその給与の中央値(7万ドル前後)のどちらと比べても数倍になる7。
文章は、何が良くて何が悪いかを言いにくい、輪郭のぼやけたタスクの一つなので、このコーディングへの偏りはさらに強まる。文章の向上は測りにくく、そのためAI企業は、指標を少しずつ登っていく「山登り」でアーネスト・ヘミングウェイの域にたどり着くことが難しい。推論が文章より数学のようなタスクで役立ちやすいように見えるのも、これが理由の一つである。
私個人としては、進歩が遅くなるという議論のほうに説得力を感じる。年末までにAIがこうした記事を私よりうまく書けるようになる確率はおそらく5%、2028年後半か2029年初めごろでおそらく50%といったところだろう。より複雑で、新しいアイデアを考え出す必要のある記事については、それより少し遅めに見積もるだろう。ただしそれは、私自身がそうした記事を実際にどれだけうまく書けるかにもよるのだが!
つまり私は、このタスクでのAIの進歩について、前のタスクよりも弱気だということになる。これは興味深い。というのも、私にとっては実はこちらのタスクのほうがずっと簡単だからだ。もしかするとこれは「モラベックのパラドックス、再び」の例なのかもしれない。AIはしばしば、人間が難しいと感じることが得意で、私たちが簡単だと感じることが苦手なのである。
タスク3:記事を公開する
三つ目にして最後のタスクは、モラベックのパラドックスがさらに当てはまりやすいかもしれない。AIは記事を Google Docs から Substack と Epoch のウェブサイトに移せるだろうか。これにはエージェントとしてコンピュータを操作する能力が必要で、AIモデルはそこで奇妙なつまずき方をするようだ。
このタスクの大半は退屈な下働きで、複数のプラットフォームをまたいで面倒な手順をいくつも踏むことに費やされる。まず、Google Docs で書き上げた記事と、SNS向けの連投(スレッド)の最終稿があり、それを2か所に移す。
- Epoch のウェブサイト:Epoch のウェブサイトの GitHub リポジトリに新しいブランチを切り、正しいメタデータを付けた新しい Markdown 文書を作り、内容をすべてコピーし、表の書式を整え、画像を添付する、といった作業がある。
- Substack:こちらはもっと簡単だが、Substack にはいくつか癖がある。表を作れないので、ウェブサイトのプレビューから表のスクリーンショットを撮る必要がある。また、脚注は Google Docs からコピーされないので、手作業で追加しなければならない8。
全体として、このタスクにはふつう2時間ほどかかる。コピー&ペースト1回で済めば、どんなに楽だろうか。少なくとも私はそう思っていた。驚いたことに、Chrome ブラウザ拡張機能を使った Claude は、Google Docs から Substack へのコピー&ペーストに苦戦する。
- まず、ファイルをダウンロードしようとした。
Fileをクリックするのだが、私にはウィンドウが開くのが見えていたのに、ウィンドウが開かなかったと文句を言う。何が起きているのかはよく分からない。 - 次に、Google Doc の全体を選択してコピー&ペーストしようとした。しかし、なぜかテキスト全体ではそれができず、ページをスクロールしながらブロックごとにテキストをコピーするという手段に頼るしかなかった。
- これでは永遠に終わらないので、今度はうまくいくだろうと(甘く?)期待してタスクをやり直してみた。残念ながら、事態はかえって悪くなった。同じ問題にぶつかったうえ、今度はブロックごとにコピーする代わりに、ページをスクロールしながらスクリーンショットを1枚ずつ撮ってテキストを読み取るという戦略を選んだのだ!
それを始めたところで、私はさじを投げ、別のエージェントを試すことにした。今度は ChatGPT Atlas の番だ。最初はどのタブが開いているかを特定するところで行き詰まったようだったが、もう一度試すと動き出した。驚いたことに、本文を Substack にうまくコピーできた。Claude がテキストのコピー&ペーストにもがき苦しんで失敗するのを見た後だったので、これには度肝を抜かれた。
だが悲しいかな、私が AGI を感じていられたのは、そこからわずか15秒ほどだった。ChatGPT はすぐに、実にばかげた誤りをいくつも犯し始めたのだ。脚注を移してはいたが、Substack の脚注機能を使わず、すべての脚注を追加したわけでもなかった。さらに悪いことに、脚注はすべてでっち上げで、ChatGPT がカーソルを間違った位置に置いたせいで、奇妙な書式の乱れも起きていた。

ChatGPT Agent は、私たちの前回の Gradient Update の本文はうまく移すが、脚注はめちゃくちゃにしてしまう。
つまり現時点では、AIエージェントはこのタスクでかなり惨めに失敗し、しかも極端に遅いようだ。これは、ポケモンでの Claude の成績や、視覚的なコンピュータ操作タスクでは METR のタイムホライズンが代表値と比べて40〜100分の1と短いという知見とも、かなりよく一致する。たとえば、5時間(300分)のタイムホライズンが、3分のタイムホライズンにまで縮むことになりうる。
しかし、タイムホライズンはずっと短くても、その伸び率は METR の主な結果とほぼ同じで、年に約2回倍増している。今日のエージェントは、1年前と比べてポケモンもずっとうまくなっている。こうしたトレンドが続くなら、近い将来に非常に速い進歩が見られると予想すべきだろう。
そして、それを実現しようとしている人々がいる。研究所は ChatGPT Agent、Kimi K2.5 の Agent Swarm、Claude Cowork といったエージェントを作っており、AIエージェントはまだ始まったばかりだ。世界中の数十億人のコンピュータ利用者の間でAIの導入を妨げているボトルネックを克服するという、この方向に進む大きな動機も研究所にはある。
もちろん、考慮すべきボトルネックもある。私が痛い目にあって学んだボトルネックの一つが信頼性だ。ChatGPT Agent が Substack 上であれこれいじっていたとき、カーソルが記事を公開するボタンの上に止まった瞬間があった。脚注がめちゃくちゃになった記事、しかもすでに公開済みの記事を、1万人を超える購読者に送ってしまうと考えて、私はほとんどパニックになっていた。幸い何も起こらず、私は割って入ることができた。
年末までにAIがこのタスクを自律的に完了できる確率は、おそらく10%程度とみる。ただし、ものすごくゆっくりとしかこなせないかもしれない。中央値のシナリオでは、AIエージェントはこのタスクでずっと先まで進めると思う。脚注の大半を正しく移し、内容を IDE(統合開発環境)に追加して画像を添付する、などだ。しかし、非常に遅く、抜ける手順もあり、コンピュータに慣れたたいていの人間にとってはなんでもないことで行き詰まる可能性のほうが高いと思う。
さらに先を見ると、2028年半ばごろまでにAIエージェントがこのタスクを完了できる見込みは五分五分だと思う。
III. これが私の仕事にとって、そしておそらくあなたの仕事にとっても意味すること
ここまでに見てきたことを整理しよう。三つのタスクから判断すると、今日のAIは、複雑な対話型ウェブシミュレーションを完全に作り上げることはできず、記事を書くのはまずまずで、記事を公開するのはひどく苦手なようだ。しかし私は、これらのタスクを解けるAIまではあと数年しかないとも考えている。そして、私にとって難しいタスクが、AIにとって難しいタスクとは限らない。それは、そのタスクが強化学習(RL)などの手法にどれだけ向いているか、そして経済的にどれだけ価値があるかによって決まる。
予測を見ると、最後に陥落すると私が予想するタスクは2029年初めだが、だからといってAIが2029年までに私に取って代わるとは限らない。わかりやすい理由は、この三つのタスクが私の仕事を網羅的に代表しているわけではなく、私は自動化が最も難しいタスクを選ぼうとしたわけでもないことだ。そのため、AIがこれらを解けるようになっても、私は代わりに別のことに取り組むだけ、という可能性が十分にある。ボトルネックは何か新しいものへと移るのだ。
たとえば Epoch では、ポッドキャストの収録に向けて、主に質問をあらかじめ出し合って準備してきた。ここで、Claude が良いポッドキャストの質問を事前に考えることにかけて私たちより優れるようになったとしよう。すると、ボトルネックは質問を書くことから、収録そのものの最中に、人間がどんなことに興味を持ちそうかをその場で理解しながら、質問を理解して良い追加の質問をする能力へと移る。

ボトルネックは、私たち Epoch のメンバーが良い質問を事前に用意することから、実際の会話の中で質問を理解して良い追加の質問をすることへと移りつつある。とはいえ、「人類最後のポッドキャスト」までにはまだしばらく時間があるかもしれない。(出典:Epoch After Hours)
したがって、AIがいつ私の仕事を奪うのかを知りたいなら、単に「たくさんのタスクをこなす」時期だけでなく、こうしたボトルネックがどこまで移っていけるのかも知る必要がある。私の「強い意見だが、こだわりはしない」見方は、これは驚くほど遠くまで移りうるというものだ。理由の一つは、モラベックのパラドックスが私たちの直感を大いに狂わせることである。AIの能力は非常にでこぼこしており、そのでこぼこがどんな形をしているのかを知らなければ、将来のAIがどんなことでつまずくのかを予測するのは難しくなる。しかも、どんなボトルネックがあるのかは、実際にぶつかってみるまで分からないことが多いので、難しさは倍になる。最後のボトルネックもいずれは陥落する。しかし、「仕事Xとは要するにYをすることだ」と言って、AIがYをできるようになる時期を予測するやり方で仕事の自動化を予測すると、強気すぎるタイムラインを出してしまう可能性が高い。
実際には、私の仕事の自動化に至る道筋は、おそらく次のようなものになると思う。今後1〜2年は、私の日々の仕事は、大まかには今とかなり似たものに見えるだろう。しかし、細かいサブタスクに絞ってみれば、AIの利用はずっと増えている。たとえば今では、GPT-5.2 が Google に代わって、事実上私のデフォルトの検索エンジンになっている。2027年から2029年にかけて、AIはコーディング、文章、エージェントとしてのコンピュータ操作で大きく上達し続け、やがて私が今やっている仕事の大部分をこなせるようになる。私はしだいに、AIの文脈に詰め込みにくいこと、複数のAIの管理、AIの奇妙な弱点への対処、より高いレベルのアイデア出しといった輪郭のぼやけたタスクへと注意を移していく。この状態がさらに数年続いた後、ついに私の仕事は終わりを迎える。
あなたとあなたの仕事はどうか
この記事ではほとんど、私の仕事でのAIの進歩と、私自身がAIをどう使うことになると予想しているかという観点から話を組み立ててきた。では、ほかの人々とその仕事はどうだろうか。
まず、私はおそらく地球上の99%の人より多くAIを使っているが、私よりはるかに多くAIを使う人もいる。特にベイエリアのプログラマーはそうだろうと思う。極端な例を挙げると、Boris Cherny(Claude Code の生みの親)の使い方を見ると、Claude と Chrome 拡張機能を組み合わせただけの私のささやかな環境は恥ずかしくなるほどだ。

これは、AIシステムがどんな種類のタスクをこなせるか、こなせないかに大きく影響しうる。AIユーザーの中には、私よりずっとうまくAIの能力を引き出せる人もいるだろう。そしてそれは、AIが彼らの仕事をどう変えるか、AIが彼らの仕事を奪うまでどれだけ距離があるかに影響する。
職業ごとのばらつきが非常に大きいことも明らかだ。それは How People Use ChatGPT や Anthropic Economic Index のような資料からも、あるいは単に友人に聞いてみるだけでも分かる。だから、あなたと私が似たような仕事をしているのでない限り、あなたの仕事に関するAIのタイムラインについて、私に言えることはあまりない。
解決策は、AIの影響を受けやすいさまざまな分野の多くの人々、つまり経済学者や弁護士、数学者などに、私が行ったのと同様の分析をしてもらうことだ。手順は簡単である。ふだん行っている(できれば勤務時間の大きな割合を占める)仕事のタスクを三つ選び、少し時間をかけてAIにそのタスクに挑戦させる。AIがどこまで進めるかを記録し、ボトルネックを見て、それがいつ克服されるかを予測する9。
こうすれば、本当の意味で現実世界のタスク、特にあなた自身の状況で、AIがどう使え、どこでボトルネックにぶつかるのかについて、はるかに具体的な証拠が得られると期待している。だから、AIにあなたの仕事を自動化させてみるのは、やってみる価値があるかもしれない。あなた自身の人生の選択についても、労働の自動化の未来についても、何かを学べるかもしれない。それは、100万ドル級のベンチマークにさえできないかもしれないことだ。
役に立つフィードバックと支援をいただいた JS Denain、David Owen、Greg Burnham、Luke Emberson、Markov Grey、Jaime Sevilla、Lynette Bye の各氏に感謝する。
注
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これにいくらかかったのかについての公式の情報源は知らないが、大まかな見積もりはできる。ベンチマークの全体には1320件のタスクがあり、それぞれ完了までに(平均で)専門家の7時間を要する。専門家に1時間あたり約75ドルが支払われたと仮定すると、人間の成績を測るコストだけで約70万ドルになる。しかしこれには、ベンチマークの構築、運営、複数回にわたる専門家のレビューのコストが含まれておらず、それらによってコストは数百万ドル規模に達した可能性が高いと思う。 ↩
-
この問いの着想をくれた Jérémy と Tangui に感謝する。 ↩
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これまでのところ、モデルとウェブ実装のコードはどちらも非公開か、少数の共同研究者にしか共有されていないので、テストセットが漏洩している可能性はかなり低いと思う。また、このタスクは、うちのウェブ開発チームが取り組まなければならなかったものと100%同じではない点にも注意してほしい。ある面ではより簡単であり(たとえば、AIが参照できる完成した論文とウェブページがある)、別の面ではより難しい(たとえば、経済モデルを設計した人々と何度もやりとりして手直しできるという利点がない)。 ↩
-
おかしなことに、爆発的な経済成長がありうるという考えに極めて懐疑的なほとんどの経済学者には、この軌道のほうがおそらくもっともらしく見えるだろう。とはいえ、彼らにとってさえ、このGWP成長率はかなり奇妙に見えるはずだ。自動化があまり進んでいない段階では約5〜6%から始まり、自動化が進むと3%に下がり、完全自動化のころにまた5〜6%に戻るのだから! ↩
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この数字の根拠を示しておくと、成功率50%での現在のタイムホライズンは約6時間である。Claude Opus 4.5 のタイムホライズンは5.3時間、GPT-5.2(high)のタイムホライズンは6.6時間だ。タイムホライズンは毎年およそ2回倍増するかもしれないので、年末までには約1日分になるかもしれない。 ↩
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直近の Gradient Updates の記事をいくつかリンクで渡し、書式と文体をつかむためにそれらを見るよう頼んだ。また、対象の記事のすでに公開された版を見てしまわないよう、それ以外の Gradient Updates の記事は見ないよう頼んだ。おそらくもっと賢いやり方があるのだろうが、この記事の目的にはこれで十分だと思う。 ↩
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大まかな根拠は次のとおりである。労働統計局(BLS)によれば、「作家・著述家」の職が13万5,400、「テクニカルライター」の職が5万6,400、「編集者」が11万5,800、「ニュースアナリスト、記者、ジャーナリスト」が4万9,300ある。合計すると約35万人の書き手がおり、これらのリンク先の数字をざっと見ると、給与の中央値はおそらく7万ドル前後である。 ↩
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もっと良いやり方をご存じなら、ぜひ教えてほしい。 ↩
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先ほどの注意点がここでも当てはまる。これで分かるのは、あなたの仕事がどれだけ変わるかであって、完全に自動化される時期をはっきり特定できるわけではない。ボトルネックがあるタスクから別のタスクへと移っていくからだ。 ↩