データの解説 AIチップの部品

よくある質問

原文:AI chip components documentation – FAQ

このデータエクスプローラーは何を測定しているのか

AIチップの部品エクスプローラーは、半導体サプライチェーンの三つの重要な部品(先端ロジックウェハー、CoWoSアドバンスト・パッケージング、HBMメモリ)を、2024年第1四半期から2025年第4四半期までの各四半期に主要なAIチップ設計企業がどれだけ消費したかを示す。数値はEpoch AIの推定である。

追跡している三つの部品は次のとおりである。

  • ロジックウェハー:TSMCが3 nmと5 nmのプロセスノード(N3 / N5 クラス)で製造する先端ノードのウェハー。AIアクセラレータの内部にあるシリコンダイになる。
  • CoWoSウェハー:TSMCが生産するCoWoS(chip-on-wafer-on-substrate)パッケージング用のウェハー。高性能なAI向けGPUやアクセラレータで、複数のチップレットとHBMスタックを一つのパッケージに載せるのに使われる。
  • HBM($):広帯域メモリ(High Bandwidth Memory)。米ドルで測定し、AIアクセラレータに搭載されるHBM2e、HBM3、HBM3eの各世代を対象とする。

なぜこの三つの部品が重要なのか

ロジックウェハー、CoWoSパッケージング、HBMは、AIチップの生産を制約している三つの主要なボトルネックである。3つとも、2023年以降、需要に比べて供給が逼迫している。

3 nmと5 nmの世界の製造能力は、TSMCが圧倒的なシェアを占めている。CoWoSの生産能力も、実質的にはTSMCが握っている。HBMを生産しているのは少数のメモリメーカー(SK Hynix、Samsung、Micron)である。これらが実際に効いている物理的な制約であるため、それぞれに占めるAIの割合を把握すれば、世界の最先端の半導体製造のうちどれだけがAIチップの生産に吸収されているかがわかる。

どのチップ設計企業を対象としているのか

サプライチェーンでの消費量が最も大きいAIチップ設計企業4社、すなわちNVIDIA、AMD、Google(TPU)、Amazon(Trainium)を対象としている。4社を合わせると、CoWoSとHBMの消費量の大部分と、先端ロジックウェハーの消費量のかなりの部分を占める。

Meta、Microsoft、Tesla、Groq、SambaNova、Huawei、Cambriconなど、ほかのチップ設計企業は現在追跡していない。これらの設計企業を加えることは、今後の課題の一つとして考えられる。また、各表には、どの企業にも割り当てられていない世界の供給量を表す「その他(Other)」の行がある。これは、その四半期の世界の総供給量から、追跡している設計企業の需要を差し引いた残りである。

在庫の調整はどう扱っているのか

各行は、その四半期にそのチップ種類に帰属するサプライチェーンでの総消費量を表す。そのチップが顧客に出荷されたか、製品在庫として残っているか、まだ製造途中(仕掛品)かは問わない。たとえば、2025年第3四半期末に仕掛品だったBlackwellチップは、ロジックウェハーを消費している(前工程は完了)が、CoWoSウェハーやHBMはまだ消費していない(パッケージングは未完了)。この消費は、その四半期ではロジック > 0、CoWoS = HBM = 0 として表れる。

NVIDIAとAMDの在庫は、両社の年度末の貸借対照表から直接モデル化している。GPUに帰属する分を原材料、仕掛品、製品に分け、それぞれを、元になる部品が消費されたとみられる四半期に割り振る。GoogleとAmazonは完成したチップの在庫を自社で持たない(持っているのはバックエンドの委託先である)。そのため両社については、代わりに2025年の推移から2026年第1四半期の生産量を外挿している。

出荷分と在庫分の内訳はモデル内部の細部であり、データの項目にはしていない。在庫による消費はすべて、チップ単位の行に含めている。

「その他(Other)」の行はどう解釈すればよいのか

「その他」の行は、追跡している設計企業4社に割り当てられない世界の部品供給量を表す。ここにはいくつかのものが含まれうる。私たちが追跡していないチップ設計企業が消費した生産能力(たとえば、ロジックウェハーではAppleやQualcomm、HBMやCoWoSでは中国のAIアクセラレータやHBMの備蓄)、その期間に利用可能だったが使われなかった生産能力、私たちが直接モデル化していない委託先が持つ上流の在庫、追跡している設計企業についての推定のモデル誤差などである。未使用の生産能力の正確な推定ではなく、おおよその傾向を示す残差として読むべきである。

年単位の残差は、四半期単位の残差よりも信頼できる傾向がある。2025年通年では、追跡している需要が総供給量を上回る確率は、CoWoSでほぼ0%、HBMで約5%である。したがって、年単位の残差は実際の差を反映している可能性が高い。四半期単位の残差の中にも、既知の出来事と合致するものがある。2024年第4四半期にはHBMの「その他」が供給量の約38%に増えているが、これは中国企業が米国の輸出規制を前にHBMを備蓄したという報道と整合する。こうした残差は、ノイズを超えた有用な手がかりになる。

これらの推定はどの程度確かなのか

数値はすべて推定値で、10,000回のモンテカルロ・シミュレーションから求めた90%信頼区間(P5 / P95)を付けている。年単位の推定には、かなりの確信を持っている。いくつかの独立したアナリストや業界による推定(JP Morgan、SemiWiki、TrendForce、Global Semi Research、GFHK)と合致しており、それらが検証の役割を果たしている。各推定との比較は、方法論の相互検証の節で一つずつ説明している。

根本的な不確実性は、モデル化の次の三つの段階で入り込む。

  • 上流のチップ数量:チップの個数の推定は、私たちのAIチップの販売ハブから取っている。そこでの売上の配分や製品構成についての仮定自体に不確実性がある。そこでの誤差は、下流にそのまま伝わる。
  • 個数から部品への換算:チップの数量をロジックウェハー、CoWoSウェハー、HBMの消費量に換算するには、チップごとの仕様(ダイの歩留まり、CoWoSウェハー1枚あたりのパッケージ数、ウェハー1枚あたりのダイ数、チップあたりのHBM容量)が必要である。これらは直接開示されておらず、公開されているチップの仕様やアナリストのレポートから推定している。
  • 在庫の会計処理:NVIDIAとAMDが報告しているのは金額ベースの在庫残高であり、チップの個数ではない。その金額をチップの個数に換算するには、GPUごとの部品表(BOM)のコストを積み上げで推定し、さらに総在庫のうちGPUに帰属する割合について仮定を置く必要がある。

四半期単位の推定は、年単位の合計よりも不確実性が大きい。次の点にも左右されるからである。

  • 年度末の在庫の積み増しを、2025年の第2・第3・第4四半期にどう振り分けるか。
  • 需要を販売の四半期から消費の四半期へさかのぼらせるのに使う、製造リードタイムの仮定(ロジックは10週間、CoWoS / HBMは8週間)。
  • 年単位の供給量の推定(たとえば、CoWoSの月産ウェハー数で表した生産能力やHBMの市場規模)を、どのように四半期単位の数値に補間するか。

ある四半期の数値が意外に見える場合は、年単位の合計のほうが信頼できる目安になる。

どのコストを対象としているのか

このハブの部品の総コストに含まれるのは、アクセラレータ単位の部品表(BOM)だけである。具体的には、ロジックダイの製造、CoWoSアドバンスト・パッケージング、HBMメモリ、そして基板、ボード、最終組立のコストなど、チップごとの補助部品である。

ラック単位やデータセンター単位のコストは含まない。実際に展開されたAIシステムでアクセラレータを取り巻くインフラ、ネットワークスイッチとNIC、ホストCPU、ストレージ、冷却、電力供給、建屋、土地、運用の間接費はすべて対象外である。したがって、追跡している設計企業4社の部品への支出が2025年に約530億ドルという私たちの推定は、チップそのものを生産するコストであり、チップが最終的に収まるデータセンターのコストではない。

データのライセンスは

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非公式の日本語訳公式ページ(英語):epoch.ai/data/ai-chip-components-documentation/faq