お知らせ
AIチップの利用者エクスプローラーを公開
原題:Introducing the AI Chip Users explorer
計算能力(「計算資源」)は、AIの開発・学習・展開に欠かせない要素である。計算資源がどれだけあり、誰が所有し、誰が使っているかは、いずれもAIの進む道に大きく影響する。今年初め、私たちは世界にAI向けに最適化された計算資源がどれだけあり、誰が所有しているかを追跡するため、AIチップの販売(AI Chip Sales)とAIチップの保有者(AI Chip Owners)の二つのエクスプローラーを公開した。今日は、この計算資源を実際に誰が使っているのかを明らかにするため、AIチップの利用者(AI Chip Users)エクスプローラーを公開する。
AI計算資源の利用量をどう推定し、誰を対象とするか
AIチップの利用者エクスプローラーは、世界の最先端のフロンティアAI開発企業5社、すなわちOpenAI、Google DeepMind、Anthropic、Meta Superintelligence Labs、SpaceXAIの計算能力を推定する。推定する利用量には、これらの開発企業がAIの研究、学習、推論実行に使うすべての計算資源が含まれる。単位はNvidia H100 GPUに換算した台数(H100e)である。開発企業による電力容量の開示がある場合はそれを使い、財務報告、第三者のアナリストによる推定、主要なAIデータセンターについての私たち自身の分析と合わせてモデル化している。

計算資源の利用は、計算資源の所有とは異なる。OpenAIとAnthropicは、自分たちが使うハードウェアをほとんど所有しておらず、Microsoft、Amazon、Google、Oracle、CoreWeaveといったクラウド事業者から計算資源を借りている。Google DeepMindとMeta Superintelligence Labsは、それぞれ親会社のGoogleとMetaの中で運営されている。親会社は膨大な計算資源を所有しているが、そのすべてがフロンティアAIラボに割り当てられているわけではない。
AIチップの利用者エクスプローラーは、研究者、政策立案者、そしてAI計算資源をめぐる戦略的な状況を追うすべての人のための資料として作った。以下では、このプロジェクトで得られた最初の知見を紹介する。
最先端のAI計算資源は劇的に増えている
計算資源の伸びを最もはっきりと示しているのはOpenAIである。OpenAIは、自社の計算能力の推移を電力の単位で直接開示している唯一のフロンティアラボである。OpenAIの報告によれば、その計算資源は毎年3倍に増えており、2023年末の約0.2 GWから、2024年末には0.6 GW、2025年末には1.9 GWになった。1.9 GWだけで、米国の平均的な住宅およそ150万戸に同時に電力を供給できる。

これをH100換算に直すと、私たちの推定では、OpenAIは2024年と2025年のどちらでも計算能力を4倍にしており、2年間でおよそ17倍に増えた。100万H100eあれば、一つのラボがGPT-4規模の大規模な学習を数十件同時に実行できる。
OpenAIはこの計算資源を、研究開発(研究とモデルの学習)と、世界の約10億人の利用者に製品を提供するための推論実行の両方に使っている。報告された数値によれば、2025年のOpenAIの計算資源は研究開発と推論実行におおむね半分ずつ配分されていたが、2024年には研究開発に回る割合のほうが高かった。1
2025年に計算資源で先頭に立っていたのは、おそらくOpenAIとGoogle DeepMind
2025年末時点での5社の推定値の中央値は次のとおりである。
| ラボ | AI計算資源の利用量 2025年12月 (中央値、H100e) | 90%信頼区間(H100e) |
|---|---|---|
| OpenAI | 1,743,000 | 1,251,000–2,185,000 |
| Google DeepMind | 1,583,000 | 1,008,000–2,549,000 |
| Anthropic | 1,190,000 | 842,000–1,717,000 |
| Meta Superintelligence Labs | 996,000 | 606,000–1,638,000 |
| SpaceXAI | 615,000 | 551,000–700,000 |
推定値の中央値で見ると、昨年末の時点ではOpenAIがGoogle DeepMindをわずかに上回っていた可能性がある。ただし、両者の不確実性の幅は大きく重なっている。DeepMindの実際の値は、H100換算で約100万から250万までのどこかにありうる。Meta Superintelligence Labsについても不確実だが、2025年に計算資源で首位だった可能性は低いと推定している。DeepMindとMeta Superintelligenceの幅が広いのは、GoogleとMetaが計算資源を、フロンティアAIラボ、外部へのクラウド貸し出し、その他のAI用途の間でどう配分しているかがはっきりしないためである。
一方、2025年のAnthropicの計算資源は、ほぼ確実にOpenAIを大きく下回っており、SpaceXAIはおそらく5位だった。
この5社は2025年末時点のAI計算資源の最先端を代表しているが、AI業界はまだ急速に変化している。OpenAIは2026年に計算資源へ約500億ドルを支出することを約束しており、これは2025年の計算資源の予算のおよそ3倍にあたる。Anthropicは、自社モデルへの需要の急増に応えて、より多くの計算資源の確保に乗り出している。SpaceXはデータセンターを急速に拡大してきたが、同時にビジネスモデルを大きく見直し、その容量の一部をAnthropicやGoogleを含む外部の顧客に貸し出している。
さらに詳しく知りたい方は、AIチップの利用者エクスプローラーで、方法論、データセットの全体、対話型の可視化、さらなる分析を確認してほしい。