データインサイト
深刻なサイバー脆弱性の公表件数は7月も増え続けた
深刻なサイバーセキュリティ脆弱性(深刻度が「重要(High)」または「緊急(Critical)」と評価されたCVE)の公表件数は、引き続き急増している。7月には、主要な組織が深刻度「重要」「緊急」のCVEをおよそ2,500件公表した。これはClaude Mythos Previewの発表以前の月間最多記録の約5倍にあたり、過去最多を記録した6月の件数を60%上回る。最新の情報は、Epoch AIのサイバー脆弱性エクスプローラー(Cyber Vulnerabilities explorer)を参照。
最近、現実に起きた事例から、フロンティアモデルが本番環境のシステムに自律的に侵入できることがわかっている。しかも、モデルを開発・評価している企業自身が気づかないうちに侵入していることもある。OpenAIは、自社のモデルの1つがサイバーセキュリティのベンチマークの解答を入手するためにHugging Faceのサーバーに侵入したと報告した。続いてAnthropicも、自社のモデルが評価中に外部の3つの組織のシステムへ不正にアクセスしていたことを明らかにした。
このグラフについて詳しく
2026年4月、Anthropicは自社の最新の内部モデル(Claude Mythos Preview)が、サイバーセキュリティ上の脆弱性を自律的に発見し悪用する能力を持つと発表した。それ以降、AnthropicとOpenAIはいずれも、悪意ある主体が同程度の能力を持つモデルを悪用できるようになる前に、フロンティアモデルを使って重要なソフトウェアを堅牢化する取り組みを始めている。
ここでは、これらの発表以降、共通脆弱性識別子(Common Vulnerabilities and Exposures、CVE)の件数が増え続けていることを示す。6月には、主要な組織が深刻度「重要」「緊急」のCVEをおよそ1,550件公表した。これはClaude Mythos Previewの発表以前の月間最多記録の3倍を超える。7月の件数はおよそ2,500件に達し、Mythos以前の記録の約5倍となった。
フロンティアAIのサイバー能力がいまや無視できない水準にあることを示すのは、これらの公表件数だけではない。7月下旬、OpenAIは、GPT-5.6 Solがより高性能な未公開の内部モデルと連携して、サイバーセキュリティのベンチマークで不正をしようとする過程でHugging Faceに自律的に侵入したと報告した。このとき、OpenAIとHugging Faceのシステムにまたがる、それまで知られていなかったセキュリティ脆弱性を少なくとも3つ連鎖させていた(この事案についてはこちらの独立した分析も参照)。続いてAnthropicも、自社のモデルが評価中に外部の事業者のシステムを複数回にわたって侵害していたと報告した(ただし同社は、モデルが複雑な脆弱性を発見したり悪用したりしたわけではないとしている)。OpenAIの事案を扱ったEpoch AIのGradient Updateが論じているように、専門家による評価やサイバー分野のベンチマークは、フロンティアモデルがこの種の攻撃を実行できることをすでに示唆していた。
データ(原文・英語)
- 主要21組織が公表した深刻度「緊急」「重要」のCVE件数(月別) CSV・Epoch AI