レポート

AI による自動化を予測することの難しさ

原題:Challenges in predicting AI automation

このグラフは原文でご覧ください。

はじめに

AI システムによるタスクの自動化は、莫大な経済的価値を生み出す可能性を秘めている(Erdil and Besiroglu, 2023)。この価値を手にできる見込みがあれば、AI の能力開発への投資はさらに促されうる。したがって、どのタスクがいつ AI によって自動化されそうかを正確に予測できれば、AI への投資と AI 開発の行方を見通す助けになりうる。自動化が経済と労働力に与える影響を理解することは、政策立案者にとっても重要である。政府は、労働者の移行を助け、自動化の恩恵が広く行き渡るようにする政策を実施する必要があるかもしれない。

本レビューは、AI による自動化の予測に関する文献を検討する。中心となるのは、AI による職業上のタスクの自動化を扱う経済学の文献である。また、こうした予測を実証的に検証する、まだ始まったばかりの研究も取り上げ、ある予測を他の予測より信頼すべきかどうかを検討する。本レビューが、研究者がこの重要な問題に取り組む助けになることを願っている。また、既存の予測が直面している課題を明らかにすることで、今後の研究の有望な方向が見えてくることも期待している。

文献のなかで、自動化はおおむね次の三つの方法で予測されてきた。

  • タスク特徴分析:タスクがどれだけ自動化されやすいかを測る。通常、AI の能力についての AI 研究者の見解を手がかりにし、それを業務タスクの特徴と結びつける。
  • タスク・特許マッピング:タスクの記述を、似た内容の AI 特許と照合する。
  • 自動化予測調査:タスクや職業がいつ自動化可能になるかを、AI の専門家に直接尋ねる。

自動化を予測する既存の方法論には、いくつかの課題がある。ほとんどの手法が扱うのは「原理的な自動化可能性」である。つまり、AI が職業上のタスクを自動化する技術的な能力をどれだけ早く持つかで各タスクを採点し、コストとインセンティブ、業務フローの再編、社会的な意思決定といった重要な要素を問題にしていない。解釈のしやすさも重要な限界の一つである。多くの手法は完全な自動化と部分的な自動化を区別しておらず、その結果を明確に定義された予測に落とし込むのが難しい。さらに、これらの方法論は、予測調査を除いて、具体的な時期を示さない。示すのは相対的な自動化可能性の評価である。最後に、Eloundou et al. (2023) や Felten et al. (2023) が論じているように、AI の能力評価に依拠する手法のなかには、その後の進歩によって評価が時代遅れになったものもある。これらの限界は深刻になりうる。詳しくは「予測方法論の比較」で論じる。

それでも、この分野は上の課題について進展を見せている。予測が現実のデータとどう比べられるかを探った実証的な証拠さえある。ソフトウェアやロボットによる自動化を予測するいくつかの方法論は、経済全体での職業ごとの採用と賃金の変化によって部分的に検証されている。対象を AI に絞ると、予測が企業レベルの採用の変化と相関するという初期の証拠がある。また、カスタマーサポート、翻訳、ソフトウェアエンジニアリング、経営コンサルティングといった分野で、AI システムによる生産性の向上を示す AI 固有の事例研究もある。こうして積み上がりつつある証拠を合わせると、AI による自動化をどう予測すべきか、そして既存の予測をどう扱うべきかについての手がかりが得られるかもしれない。

予測手法を詳しく検討する前に、それらの土台となっている、自動化をモデル化するためのタスクベースの枠組みについて論じる(「自動化はどのように起きるのか」)。続いて、自動化可能性を予測する目的と、予測方法論に求められる性質を検討する(「自動化の予測に何を求めるのか」)。そのうえで、自動化可能性の予測に関する文献を、方法論を中心に概観する(「自動化可能性の予測方法論の概観」)。次に、これらの手法を実証的に検証した文献を概観し、手法どうしを並べて比べて違いを検討する(「実証的な証拠と比較」)。最後に、今後の研究に向けた未解決の問いを、AI と自動化研究の双方の最近の進展と関連づけて論じる(「考察」)。

自動化はどのように起きるのか

労働経済学では、自動化を、特定の職業や部門の労働者が担うタスクの単位で研究するのが一般的である。たとえば Autor (2013) がそのように説明している。タスク単位の分析は、職業単位の分析よりも正確で現実的な自動化のモデルを与えうる。たとえば、秘書やソフトウェアエンジニアの業務タスクは技術によって劇的に変わったが、これらの職業が丸ごと自動化されたわけではない。タスクベースの手法は、労働者を低技能と高技能の集団に分けるだけで個々のタスクには立ち入らなかった、より古い「標準モデル」を発展させたものである。

タスクという概念はきわめて一般的に定義されている。たとえば Autor (2013) では「産出物を生み出す作業活動の単位」とされ、具体例として「物を動かす、計算を行う、情報を伝える、食い違いを解消する」が挙げられている。自動化可能性に関する研究の多くは、職業情報のデータベースである Occupational Information Network(O*NET)を、職業・タスク・技能についての詳細な情報源として使ってきた。O*NET データベースは業務タスクをさまざまな粒度で記述している。タスクは業務の最も細かい記述で、単一の職業に固有であることが多い。業務活動は、より一般的な業務をより上位のレベルで記述したもので、多くの職業に結びついていることが多い。

タスクベースの枠組みでは、自動化をおおむね次の三つの観点から考えることができる。

  • 職務内のタスクの完全な自動化。つまり、技術がそのタスクを遂行できるようになること。
  • 職務内のタスクの部分的な自動化。つまり、労働者の生産性が上がること。
  • 職務内のタスクの脱技能化。つまり、タスクを遂行するのに必要な技能の水準が下がること。

自動化可能性の測定に関する文献の多くは、この三つを注意深く区別していない。これは、Acemoglu and Autor (2011) のように自動化の影響をモデル化する文献が、これらの違いを重要とみなしているのとは対照的である。どの場合にも、さらなる技術進歩によって自動化が深まることがありうる。Acemoglu and Restrepo (2019) が論じているように、すでに自動化されたタスクで生産性が向上するということである。これに関連して、自動化の実際のコストは時とともに変わりうる。巨額の初期投資と継続的な資本投資があれば自動化できるタスクと、ほぼゼロの投資で自動化できるタスクとの間には、重要な違いがある(Arntz et al., 2016)。

タスクベースの分析の重要な特徴は、技術的・社会的な変化によって、タスクが作り変えられたり、消えたり、新たに生まれたりしうることである(Arntz et al., 2016; Acemoglu and Restrepo, 2019)。これは自動化の結果として自然に起こりうる。タスクを費用対効果よく自動化できるようになれば、自動化するインセンティブが生まれる。その結果、こうしたタスクを中心とする既存の業務フローが組み替えられることが多い。労働は自動化されていないタスクに再配分されるが、それに応じて求められるものも変わる。自動化によってあるタスクの生産性が上がれば、それを補完する自動化できないタスクの重要性が増す。これは、データの記録、自動化のモデル化、自動化の傾向の予測にとって大きな課題になりうる。それでも、この課題は自動化を現実的に捉えるうえで欠かせないものである。

自動化の予測に何を求めるのか

理想的には、特定の職業上のタスクがいつ一定水準の自動化に達するかを予測したい。「AI はいつタスク T の生産性を X% 向上させるか」といった問いに答えたいのである。実際には、こうした問いに答えられる既存の方法論はまだない。既存の手法は、代わりに、タスクの自動化されやすさを大まかに評価する傾向がある。

自動化の予測には、次のような性質が求められる。

  1. 解釈しやすい予測であること。

    自動化可能性の評価は、自動化の種類と程度、時間軸または必要な AI の能力、そして AI による自動化を可能にするのに必要なタスクの作り変えや業務フローの再編の程度と、明確に結びついているべきである。これらの要素によって、自動化が経済と労働市場に与える影響は大きく変わりうるからである。既存の手法は、これらの要素のどれをモデル化しているか、そしてそれをどの程度詳しく予測しているか(予測しているとすれば)がまちまちである。

  2. 導入の実際面、すなわちボトルネック、インセンティブ、規制上の問題を扱っていること。

    これらは現実の自動化の進み具合を大きく左右しうる。一部の手法のようにこれらを考慮せずに「原理的な自動化可能性」を測ると、現実の自動化と大きく食い違う予測が生まれかねない。導入を考慮しない予測は、定義があいまいで反証しにくいものにもなりうる。あるタスクが自動化できることを示す最も強いシグナルは、それが実際にうまく自動化されていることである。理想的には、予測方法論はこうした細部を組み込むか、少なくとも別個にモデル化する明確な方法を示すべきである。

  3. 入力が、自動化を予測するための強い理論的根拠や実証的根拠(あるいはその両方)を持っていること。

    構造化された予測方法論は、タスクの AI への適性の評価、タスクの記述、技能の評価、特許、AI の能力のベンチマークといった入力を使う。理想的には、これらがなぜ自動化を予測するのかについて、できる限り強い根拠があるべきである。たとえば Eloundou et al. (2023) は、AI の能力の急速な変化によって、タスクの AI への適性についての古い評価が通用しなくなりうることを論じている。

  4. 予測がこれまでの自動化の証拠と整合していること。

    ソフトウェアや産業用ロボットといった古い技術による自動化とは異なり、AI による自動化の実証的な証拠は、ようやく見え始めたところである。労働経済学の文献では、Acemoglu et al. (2020) が、AI への曝露に応じて企業レベルで採用が変化したことを示す証拠を挙げている。また、カスタマーサポート、翻訳、ソフトウェアエンジニアリング、コンサルティングで、AI による自動化が職業上のタスクとどう関わりうるかを示す説得力のある事例研究もある。予測はこうした証拠と整合しているべきであり、そうでないならその明確な理由を示すべきである。

自動化可能性の予測方法論の概観

図1:タスクの自動化可能性の予測に関する学術文献は、タスク特徴分析、タスク・特許マッピング、自動化予測調査の三つに分類できる。O*NET の特徴(「タスク特徴分析」で論じる)は、職業情報のデータベースである O*NET から得られるもので、必要な技能・能力などの詳細によってタスクを特徴づけている。

タスクの自動化可能性を予測する手法は、おおむね三つある。第一はタスク特徴分析で、タスクの自動化されやすさを測る。通常、現在および近い将来の AI の能力についての AI 研究者の見解を手がかりにする。第二は、その代替となるタスク・特許マッピングで、タスクの記述と、特許などの最近のイノベーションとの間でキーワードの対応を調べることに基づく。第三は自動化予測調査で、タスクや活動がいつ自動化できる(あるいは自動化される)かを尋ねる。自動化がいつ起きるかを明示的に予測しているのは調査だけで、他の手法は自動化可能性の相対的な尺度を与える。

この節では、自動化可能性の予測に関する文献を、方法論、つまりそれぞれの手法がどのように機能するかを中心に概観する。予測結果の大まかな違いは「予測の概観」で簡単に論じ、出力の例は「付録:各手法の出力例」に示すが、それらは本レビューの主眼ではない。

方法論概要入力再現性
タスク特徴分析Autor et al. (2003)
AI 以前の自動化。Acemoglu and Autor (2011) が O*NET の変数に適合させた。
タスクを定型/非定型、認知的/身体的に分類する。Dictionary of Occupational Titles(O*NET の前身)の変数を変換したもの。分類は論文で公表。
Frey and Osborne (2013) 現在の AI による職業の自動化可能性にラベルを付ける。AI にとっての9つの O*NET「ボトルネック」への回帰によって、全職業に外挿する。職業の完全な自動化可能性について AI 研究者を調査。上位レベルの分類は論文で公表。
Arntz et al. (2016) Frey and Osborne (2013) の職務間のばらつきから、個々のタスクの自動化可能性を回帰で推定する。タスクに関する労働者調査、Frey and Osborne による職業単位の自動化可能性スコア。職業単位の評価は論文に掲載。
Manyika et al. (2017)、後に Chui et al. (2023) が続報タスク/活動/技能の自動化可能性を評価する。独自の自動化可能性評価。独自データで、職業単位では報告されていない。
Duckworth et al. (2019) タスクの自動化可能性を評価する。120の O*NET の特徴(技能、知識、能力)への回帰で外挿する。「機械学習、ロボティクス、
知能システムの専門家」156人へのオンライン調査。
データセットとコードを公開。
Felten et al. (2021)(Felten et al. (2018) を発展)AI のベンチマークを O*NET の能力と関連づける。EFF AI Progress Measurement のベンチマーク、ベンチマークと能力の対応についてのクラウドソーシングによる評価。ベンチマークと能力の対応を含むデータセットを公開。結果は職業・産業・米国の郡の単位。
Brynjolfsson et al. (2018) 機械学習への適性(SML)を測る23項目の評価基準で活動を評価する。クラウドソーシングによる調査。データセットとコードを公開。
Eloundou et al. (2023) ChatGPT や類似のシステムによってタスクを2倍超に速められるかどうかで、タスクを評価する。GPT の使用経験があるアノテーション作業者による評価と、GPT-4 による評価。評価基準は付録に掲載、データは非公開。
タスク・特許マッピングWebb (2019) タスクの記述と特許との重なりを特定し、職業単位に集計する。特許(AI、ソフトウェア、産業用ロボットで別々の集合)。データセットとコードを公開。
自動化予測調査Gruetzemacher et al. (2020) 自動化可能なタスクの割合を予測する。2018年の三つの機械学習の学会の参加者203人。「自動化可能」や割合の定義はない。集計データは論文に掲載。
Stein-Perlman et al. (2022) ある職務の全タスクが原理的に自動化可能になる年を予測する。2022年の NeurIPS または ICML の論文著者738人。原理的な自動化可能性に焦点。データセットを公開。

表1:主な予測方法論の概観。それぞれの仕組みの簡単な説明、タスクの自動化可能性の評価に使う入力、再現性を示す。

タスク特徴分析

背景

経済学の文献でタスクの自動化可能性を測ろうとする試みは、Autor et al. (2003) に始まったといってよいだろう。彼らは職業上のタスクを定型労働と非定型労働に分けた。定型とは、「明示的な規則に従えば遂行できる、限られた明確に定義された一連の認知的・手作業的活動[であって、問題解決や複雑なコミュニケーションの活動とは対照的なもの]」を意味する。彼らは、「指揮・統制・計画」などの分野についての既存の評価を使って、タスクの定型性を採点した。それ以前の研究ではコンピュータや産業用ロボットの普及とその影響が調べられており、他の分野の研究でも定型性が自動化の重要な予測因子であることが示されていた。Autor et al. (2003) はこの分類を生産関数のなかのタスクに当てはめ、自動化が定型労働を代替し、非定型労働を補完するモデルを構築した。このモデルの予測は、労働需要に関する実証的な証拠と一致した。

その後、AI の発展によって、Autor et al. (2003) の自動化モデルは揺らぎ始めた。非定型と評価されていたタスクが、次第に自動化しやすくなっていったのである(Susskind, 2019)。経済全体にわたる AI による自動化可能性の一般的な指標を最初に作ったのは、Frey and Osborne (2013) である。彼らは AI 研究者に、70の職業が近い将来に完全に自動化されうるかを尋ねた。その際に問うたのは、実際に自動化されるかどうかではなく、自動化する技術的な能力があるかどうかである。そして、この調査結果を使って、AI のボトルネックに関わるものとして手作業で選んだ O*NET の9つの技能変数から自動化可能性を推定する回帰を当てはめた。これらの変数はおおむね知覚と操作、創造的知性、社会的知性の領域に属していた。彼らの研究には、米国の総雇用の約50%が自動化の高いリスク(彼らの指標で70%超)にさらされているという、よく引用される知見が含まれていた。その後、何人かの研究者が、方法論に大きな変更を加えずに、さまざまな国の労働市場について同様の分析を行った。

タスクに着目した分析

Frey and Osborne (2013) に対して、何人かの研究者がタスクに着目した分析で応じた。自動化はたいてい職業全体ではなく職業内のタスクに影響すると主張したのである(Arntz et al., 2016; Manyika et al., 2017; Brandes and Wattenhofer, 2016; Nedelkoska et al., 2018; Duckworth et al., 2019)。これらの研究ではたいてい、個々のタスクを考慮すると雇用のうち「高リスク」の割合が大幅に下がることが分かった。たとえば Arntz et al. (2016) では、OECD 諸国全体で9%だった。ただし、これらの手法が扱っていたのも、依然として、調査時点で理論上完全に自動化できるものについての研究者の推測だった。

透明性と再現性の高さからとりわけ注目に値するのが Duckworth et al. (2019) で、Frey and Osborne (2013) を拡張し、独自のタスクベースの定式化とオープンソースのデータセットを作成した。調査時点で技術的に自動化可能なタスクを対象とし、より細かい粒度、すなわち O*NET のタスクの水準で分析した。その手法では、タスクの重要度と職業の要件(技能、知識、能力)で重み付けして、タスクを業務活動へと集計した。そのうえで、O*NET のすべての業務活動について、職業の要件から自動化可能性を回帰で推定した。その結果は、Frey and Osborne (2013) よりも Arntz et al. (2016) や Manyika et al. (2017) に近いものになった。つまり、丸ごと自動化にさらされる職業は少なかった。

Brynjolfsson and Mitchell (2017) は、機械学習への適性(Suitability for Machine Learning: SML)という観点からタスクの自動化可能性を測る、構造化された評価基準を作成した。O*NET の変数を介して専門家の予測を回帰するよりも分かりやすく、将来を見据えた評価を行えるので、先行研究を改善するものになりえた。Brynjolfsson et al. (2018) は、クラウドソーシングを使ってこの評価基準で O*NET の業務活動を評価し、自動化にさらされる業務の割合が Arntz et al. (2016) や Duckworth et al. (2019) とおおむね同程度であることを見いだした。

Felten et al. (2018) は、AI のベンチマークに基づく自動化可能性の別の指標を開発した。彼らは、AI のベンチマークを、O*NET が分類する、職業に必要な能力と結びつけようとした。分析の中心は職業の単位だったが、O*NET は能力を業務活動とも結びつけているので、同じデータセットをより細かく分解することもできた。当初、この結びつけは過去を振り返る形で行われ、著者らがコンピュータサイエンスの博士課程の学生の助言を得て能力とベンチマークを対応させた。その後、Felten et al. (2021) で、将来を見据えた対応づけのためのクラウドソーシング調査を含む形に拡張された。この手法は、その後の研究でいくつかの類似の手法に影響を与えた。Lassebie and Quintini (2022)、Josten and Lordan (2020)、Tolan et al. (2021) である。

生成 AI と LLM への対応

生成 AI の最近の進歩に触発されて、以前の分析を見直し、この分野の急速な進歩を考慮に入れた文献がいくつか出ている。Felten et al. (2023) は、自分たちの自動化可能性の分析を見直し、言語モデルと画像生成に最もさらされているタスクと職業を中心に調べた。Chui et al. (2023) は、生成 AI を中心に扱ったレポートを公表した。おおむね Manyika et al. (2017) の方法論に従っているが、最近の進歩を踏まえて、普及の見積もりを大幅に速いものに更新している。

Eloundou et al. (2023) は、大規模言語モデル(LLM)に特化した予測方法論を考案した。彼らは、GPT のようなシステムによる自動化の可能性に基づいてタスクを分類した。この研究には三つの強みがあった。(i) GPT-4 などの LLM が示した画期的な AI の能力に基づいて自動化の可能性を評価したこと。(ii) 完全な自動化ではなく、タスクが2倍速くなるかどうかを問う評価基準を定義したこと。(iii) O*NET のタスクを最も細かい粒度で評価し、これまでで最も網羅的な自動化可能性の尺度を示したこと。注目すべきことに、この研究では、GPT の使用経験がある人間の評価者と GPT-4 自身を組み合わせてタスクを評価し、両者の評価がよく一致することを示した。

タスク・特許マッピング

自動化可能性を測る別の、データ駆動型の手法は、AI の特許を、その特許が自動化しうる活動を含む職業と関連づけることである。この手法を開拓したのは Webb (2019) で、特許から動詞と名詞の組を抽出し、O*NET の細かいタスクや職業の記述と関連づけた。これにより、選ぶ特許次第で、AI、あるいは産業用ロボットやソフトウェアといったより古い技術への技術的な曝露を測ることができた。Meindl et al. (2021) も同様の研究を行い、特許の選択範囲を「第4次産業革命」の幅広いテーマにまで広げた。同様に、Zarifhonarvar (2023) は最近、生成言語モデルへの職業の曝露を測るために、似たテキストマイニングの手法を検討している。Webb (2019) がデータを公開したことで、Felten et al. (2018) や Brynjolfsson et al. (2018) などの指標との幅広い比較が可能になった。これについては「実証的な証拠と比較」でさらに論じる。

自動化予測調査

年単位の明示的な予測を示す主な文献は、Stein-Perlman et al. (2022) である。AI 研究者を対象としたこの調査では、四つの職業例(トラック運転手、外科医、小売販売員、AI 研究者)のすべてのタスクが、AI によって技術的にいつ自動化可能になるかを尋ねた。また、自動化が最も難しい部類に入る職業の例も尋ねた。回答者間のばらつきは大きかったが、予測の中央値によれば、トラック運転手や小売販売員が行うすべてのタスクは10年で自動化可能になるかもしれない。しかし予測の中央値は、最後に自動化可能になる職業がそうなるのはずっと先(80年後)であることも示唆していた。最後に自動化可能になる職業については、さまざまな案が挙がった。それらは、(i) 対人的な身体のふれあいが役立つ職業(看護師、セラピスト)、(ii) 高い社会的地位とカリスマ性を伴う職業(政治家、CEO)、(iii) 高い独創性、創造的思考、分析の厳密さを必要とする職業(哲学者、AI 研究者)である傾向があった。

予測調査のもう一つの情報源は Gruetzemacher et al. (2020) である。2018年に三つの機械学習の学会の参加者を調査し、自動化可能なタスクの全体的な割合を年ごとに予測してもらった。個々のタスクを扱ったものではないが、研究者の全体的な見方を知る手がかりになる。調査からは、研究者が、すでにかなりの割合のタスク(約20%)が自動化可能であり、この割合は次の10年で劇的に増える(約60%)と考えていることが分かった。ただし予測のばらつきは大きく、10年後に自動化可能なタスクの予測は10%から100%まで幅があった。

予測の概観

既存の方法論の予測を比較した文献は、Acemoglu et al. (2020) などいくつかの例外を除いて、かなり少ない。この節では、大まかな職業分類と個々の職業の単位で予測を比較する。異なる予測の間の一致は驚くほど少ないことを示す。ただし、AI を対象とする方法論には共通点が一つある。どれも管理職と専門職を、従来の自動化可能性の尺度よりも自動化にさらされていると評価しているのである。

図2は、自動化の研究でよく使われてきた12の大まかな職業分類について、自動化可能性の尺度を比較したものである。大まかな職業分類に集計するとタスクの細部は見えなくなるが、これらの結果は各方法論の姿を分かりやすく示してくれる。図2が対象としているのは、データを公開しているタスク単位の方法論だけである。他の方法論の結果例の比較は「付録:各手法の出力例」に示す。AI 以前の自動化と比較できるよう、図2には Acemoglu and Autor (2011) の定型性の尺度も含めている。

図2:Acemoglu et al. (2020) などで使われている12の大まかな職業分類ごとの、自動化可能性の尺度の平均。スコアが高いほど自動化可能性が高い。職業は賃金の中央値が高い順に並べてあり、これはおおむね従来の技能水準の評価に沿っている。各尺度は、大まかな職業分類に集計する前に、職業単位で雇用者数で重み付けした z スコアに標準化している。データは各文献、または Acemoglu et al. (2020) の比較から取った。この図では、簡単のため、Acemoglu and Autor (2011) の尺度として認知的・身体的な正味の定型性スコアの合計を使っている。

注目すべきことに、AI の方法論のほとんどは、管理職・専門職のような高賃金の職業の自動化可能性を中程度から高いと予測している。Duckworth et al. (2019) はこのパターンに従わず、全体として AI 以前の古い予測に近い。これは、対象範囲がより広く、調査が現時点で自動化可能なタスクを対象としていることと整合する。残念ながら Eloundou et al. (2023) はデータを公開していないため、図2には含められなかった。しかし、認知的なタスクが多く、手作業のタスクが少なく、学歴の要件が高い職業ほど評価が高くなる、つまり同じパターンに従うと予想される。

AI を対象とする方法論の間では、尺度どうしの一致は比較的少ない。Brynjolfsson et al. (2018) と Felten et al. (2018) はいくらか似ており、従来は高技能とみなされてきた職業ほど自動化可能性が高いという大まかなパターンを示している。しかし、個々の職業分類では、それほどよく一致していない。一方、Webb (2019) は、ほとんどの職業で自動化可能性を中程度と予測しているが、販売と事務・管理(自動化可能性が低い)、農業・鉱業(自動化可能性が高い)は目立った例外である。これは、この手法が生成 AI 以前の特許を対象としていることと直観的に合致する。そうした特許は通常、「農産物の選別のような、入力と判断の間の系統的な関係」を扱っていた(Webb, 2019)。

異なる自動化可能性の尺度の間で一致が少ないことは、図3でさらに詳しく調べている。図3は、自動化可能性の尺度を2つずつ比べ、O*NET の個々の職業についてそれぞれの評価をプロットしたものである。Duckworth et al. (2019) は Acemoglu and Autor (2011) とかなりよく一致しており、AI 以前の従来の自動化可能性の考え方が支配的だという解釈をさらに裏づけている。しかし、AI を対象とする尺度どうしの相関はほとんどない。最も一致しているのは Felten et al. (2018) と Brynjolfsson et al. (2018) だが、それでも一方の尺度が説明できる他方の分散は8%にすぎない。それ以外の AI の尺度の間には相関がまったくない。このことは、それぞれの予測が大きく異なることを際立たせている。ただし、検証用のデータがない以上、これが一部の予測のほうが正確であることを意味するのか、それとも異なる手法が「AI への曝露の異なる構成要素を捉えている」(Acemoglu et al., 2020)ことを意味するのかは分からない。

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実証的な証拠と比較

さまざまな予測手法を検証するのは難しい。AI のイノベーションは比較的新しく、多くの現実の用途で使えるようになったのはごく最近だからである。AI による自動化についての実証的な証拠には、二つの流れがある。自動化の経済的影響の研究と、特定の用途における AI の事例研究である。それぞれの主な結果を概観するが、自動化の影響については、自動化可能性の尺度を実証的な証拠と比較した研究を中心に取り上げる。最後に「予測方法論の比較」で、各方法論が「自動化の予測に何を求めるのか」で挙げた要件にどれだけ合っているかを比較する。多くの重要な課題が未解決のまま残っているが、この分野には進展の有望な兆しも見えていることを示す。

自動化の経済的影響の研究は、ソフトウェアや産業用ロボットといった他の自動化技術の影響が大きく交絡している。この節では、それ以前の自動化を調べた豊富な文献については論じない(Autor (2013) などを参照)。取り上げるのは、AI による自動化をめぐる実証的な証拠、すなわち AI の自動化可能性の尺度を明示的に検討した研究や、深層学習によって可能になった AI 技術の事例研究である。AI による自動化に絞ると、企業レベルの採用の変化が、いくつかの自動化可能性の尺度(Brynjolfsson et al. (2018)、Felten et al. (2018)、Webb (2019))と相関しているという初期の証拠がある。一方、AI の事例研究は対象範囲が狭いものの、カスタマーサポート、翻訳、ソフトウェアエンジニアリング、経営コンサルティングでのタスクの自動化可能性について、かなり強力で詳細な証拠を示している。ただし、外的妥当性への懸念はより大きい。

AI による自動化の経済的影響の研究

何人かの研究者が、労働者と分野の専門家への調査から集められた、職業単位の O*NET の「自動化の度合い(Degree of Automation)」のデータを分析している(Scholl and Hanson (2020)、Otoiu (2022)、Carlson (2023))。Frey and Osborne (2013) や Brynjolfsson et al. (2018) などの自動化可能性の指標は、自動化の度合いの上昇と関連していた。しかし、これらの指標は、「機器の速度によって作業ペースが決まる」といった職務の特徴と組み合わせると、もはや情報を与えなくなった。こうした特徴は、産業用ロボットなどによる従来の自動化の観点から素直に解釈できるものである。気がかりなことに、Scholl and Hanson (2020) は、他の要因を統制すると、自動化は時間とともに横ばいか、むしろ減少していることを見いだした。彼らは、労働者が何を自動化されたとみなすかの基準が変わってきたためかもしれないと示唆している。

他の研究では、採用や賃金の変化と、AI の自動化可能性の指標(Acemoglu et al., 2020; Georgieff and Milanez, 2021; Felten et al., 2019)や、より一般的な技術による自動化可能性の指標(Meindl et al., 2021; Kogan, 2020)との関連を調べている。しかし、自動化の度合いの場合と同様に、これは他の技術による自動化の影響が大きく交絡しやすい。実際の結果もこれと整合している。より広い自動化可能性の指標(Arntz et al., 2016; Meindl et al., 2021; Kogan, 2020)は経済全体での採用の減少と相関しているが、Felten et al. (2019) のように AI により特化した指標は相関していない。したがって、これらの研究は、AI の自動化可能性の尺度を検証するにはあまり役立たないかもしれない。

AI による自動化に絞って、Acemoglu et al. (2020) は求人広告のデータを調べ、自動化にさらされている企業が、AI 関連の職種の採用を増やし、自動化にさらされている職種の採用を減らしたことを見いだした。彼らは、この知見が三つの異なる自動化可能性の評価、すなわち Webb (2019)、Felten et al. (2018)、Brynjolfsson et al. (2018) のもとで成り立つことを示した。ただし、Brynjolfsson et al. (2018) では頑健性がやや劣った。これらの結果は、潜在的な交絡要因、たとえば Webb (2019) の AI 以外のソフトウェア関連特許で捉えた、AI によらない自動化を統制しようとしたあとでも成り立った。

特定の用途における AI の事例研究

AI による自動化を掘り下げて調べた事例研究は増えつつある。これらは、AI が現実の代表的なタスクで生産性を向上させていることの説得力のある証拠になりうる。全体として、これらの事例研究からは、一部の職業ではすでに AI による測定可能な生産性の向上が生じていると考えられる。また、三つの自動化の型すべて、すなわちタスクの脱技能化、部分的な自動化による生産性の向上、労働を置き換える完全な自動化のそれぞれについて、証拠を示している。

カスタマーサポートと対話型アシスタント:Brynjolfsson et al. (2023) は、GPT を基盤とする対話型アシスタント AI によって、カスタマーサポート担当者の生産性が14%向上したことを見いだした。これは、能力が低く経験の浅い担当者の仕事の水準を、もともと最も優秀だった担当者の水準まで引き上げることで達成されたようである。後者の集団には有意な恩恵はなかった。これは、脱技能化と、それに伴うほとんどの労働者の生産性向上を示す明確な例である。

ソフトウェアエンジニアリング:Peng et al. (2022) は、プログラミング支援ツール Copilot を使ったプログラマーが、JavaScript による HTTP サーバーの実装を対照群より55%速く完了できたと主張した。この結果は主に、作業の遅い参加者の成績が向上したことによるようで、脱技能化と整合する。注目すべきことに、それ以前の研究では、Copilot の最も大きな効果は、単純なタスクの速さよりも、ユーザーの満足度と体感上の生産性にあるかもしれないとされていた(Ziegler et al. (2022))。関連する事例研究である Tabachnyk and Nikolov (2022) は、Google が社内向けに開発した、機械学習に基づく同様のコード補完ツールを調べた。その結果、反復にかかる時間が6%短縮されたことが分かり、Copilot のようなツールがプログラマーの生産性を高めうるという考えをさらに裏づけた。これらの結果からはさらに、こうしたツールによる生産性の向上が、技能の低いソフトウェアエンジニア以外にも及びうることがうかがえる。

翻訳と質問応答:Yilmaz et al. (2023) は、Google が2016〜2017年に AI 翻訳を導入したことを自然実験として使い、それがオンラインの翻訳者に与えた影響を調べた。その結果、この技術が導入された言語ペアでは労働需要が急速に落ち込み、取引額が他の言語ペアと比べて約30%減少したことが分かった。この差はとりわけ定型的な翻訳タスクに集中しており、定型性の低い「トランスクリエーション」(創造的翻訳)のタスクでは同じ期間に減少は見られなかった。彼らは同様の方法論を ChatGPT と StackOverflow の質問にも当てはめ、ChatGPT の公開後にプログラミングに関する質問が約10%減少したことを見いだした。翻訳についての知見からは、労働を置き換える自動化が起きていると考えられる。易しめの翻訳タスクの需要が落ちたのは、おそらく翻訳システムがそれらのタスクの遂行に使われたためである。エンドユーザーがこれらの翻訳を校正・修正するために追加の労力をかけたかどうかは分かっていない。

経営コンサルティング:Dell’Acqua et al. (2023) は、経営コンサルティングの二つの種類のタスクで GPT-4 を使うことについて、掘り下げた研究を行った。「新製品を構想・開発する」タスクと、「定量データや顧客・企業へのインタビューを用いたビジネス上の問題解決のタスク」である。注目すべきことに、後者のタスクは、「指示をそのままプロンプトとしてコピー&ペーストするだけでは、AI が[タスクを]簡単には完了できない」ように意図的に選ばれていた。「新製品を構想・開発する」タスクでは、AI の支援は非常に有益だった。完了の速さは25%向上し、品質のスコアは40%以上向上した。これらの効果はここでも技能の低い従業員ほど大きく、脱技能化の効果と整合していた。ただし、技能の高い従業員にも有意な向上が見られた。目を引くのは、「ビジネス上の問題解決」タスクでは AI の支援によって正答率が19%下がったことで、著者らはこれらのタスクを GPT-4 の能力の「フロンティアの外側」に分類した。

予測方法論の比較

方法論解釈しやすさ導入入力の実証的・理論的根拠これまでの証拠
部分的な自動化時間軸(将来を見据えているか)AI の能力が最新かO*NET の特徴との対応(ある場合)細かい粒度のタスクデータAI の事例研究採用の変化(AI 固有)
タスク特徴分析Frey and Osborne (2013)✗
対象外。
✗
現時点で自動化可能かどうか。
✗ ✗ ✗
職業単位の回帰。
✗ ✗ ✗
Felten et al. (2021) ✓
明示的な定義はない。
✓
AI のベンチマークへの曝露。
✗ ?
2023年に LLM 向けに更新。
?
二値の調査による能力とベンチマークの対応。
✗ ✓
いずれも曝露が高いと評価。
✓
Duckworth et al. (2019) ✓
尺度に部分的・完全な自動化を含む。
✗
現時点で自動化可能かどうか。
✗ ✗ ?
業務活動単位の回帰。
✗
調査はタスク単位、分析は活動単位。
?
曝露が高いのはカスタマーサービスのみ。ただし、この指標は AI 以外による自動化可能性も対象としている。
?
分析されていない。
Brynjolfsson et al. (2018)✓
明示的な定義はない。
✓
機械学習への適性。
?
評価基準に一部含まれる。
✗ - ✗ ✗
全般に曝露が低めと評価。
✓
Felten et al. や Webb より頑健性が劣る。
Eloundou et al. (2023) ✓✓
定義あり:タスクの2倍超の高速化。
?
近い将来の GPT のようなシステム。
✓
評価基準に含まれる。
✓ - ✓ ✓
いずれも曝露が高いと評価。
?
分析されていない。
タスク・特許マッピング Webb (2019) ✓
特許が暗に含んでいる。
✓
部分的で、特許に暗に含まれる。
✓
特許と暗に結びついている。
✗
新しい特許で更新可能。
- ✓ ✓
コンピュータプログラマー、経営アナリストは高く、カスタマーサービスは中程度。
✓
自動化予測調査 Gruetzemacher et al. (2020) ✗
明示的な定義はない。
✓✓
年ごとの自動化された割合。
✗
あいまい。
? - ✗ - -
Stein-Perlman et al. (2022) ✗
対象外。
✓✓
職業ごとに年を予測。
✗ ✓ - ✗ - -

表2:「自動化の予測に何を求めるのか」の基準に照らした予測方法論の比較。Autor et al. (2003) は AI を対象としていないため除外した。また、Frey and Osborne (2013) から派生した Arntz et al. (2016) のような方法論と、データ収集についての詳細が少ない Manyika et al. (2017) や Chui et al. (2023) のような手法も除外した。

表2では、各手法が「自動化の予測に何を求めるのか」の基準にどれだけ合っているかを比較している。これらの野心的な要件をすべて満たせる手法はまだないが、時とともに進歩の兆しが見える。方法論は、部分的な自動化、導入の細部、細かい粒度のタスクの定義を次第に考慮するようになっている。以下では、求められる性質ごとに、手法間の目立った違いを論じる。

解釈しやすさ:ほとんどの方法論は、何らかの形で部分的な自動化を考慮している。たとえば、同じ自動化可能性の尺度で部分的な自動化から完全な自動化までを測る。この点で最も明確な定義を示しているのは Eloundou et al. (2023) で、タスクが2倍以上速くなるかどうかで定義している。Frey and Osborne (2013) や Duckworth et al. (2019) のような「ナウキャスティング」(現状推定)の手法を除けば、ほとんどの方法論は将来を見据えているが、明示的な時期を示すのは予測調査だけである。

導入:多くの手法は、導入、インセンティブ、規制上の問題などの細部を無視している。Brynjolfsson et al. (2018) は、「[タスクの]産出物が人間によるものだと受け止められることが重要か」といった問いを通じて、評価基準のなかでこれらを部分的に考慮している。より明示的には、Eloundou et al. (2023) の評価基準がこうした細部を考慮している。また、Webb (2019) の尺度は、特許を使うことで、ある程度これらを暗に考慮している。

入力:ほとんどの手法は、AI の能力の急速な進歩によって揺らいでいる。Eloundou et al. (2023) は、手法が新しく、既存の例(GPT)に似た AI システムを対象としているため、明らかな例外である。Felten et al. (2023) は、言語 AI のベンチマークの進歩を追うように更新すれば、Felten et al. (2021) の方法論も AI の能力の変化に対応できることを示したといえるだろう。しかし、これには O*NET の特徴との対応についての不確実性という問題がある。AI のベンチマークと O*NET の能力を結びつける二値の調査で、AI の進歩の影響をどれだけうまくモデル化できるかははっきりしない。いくつかの方法論は O*NET の特徴を使わず、この懸念をいくらか回避している。最後に、細かい粒度のタスク、すなわち業務活動ではなく O*NET のタスクを使っているのは、Eloundou et al. (2023) と Webb (2019) だけである。

これまでの証拠:Eloundou et al. (2023) は、すべての事例研究とよく一致している。手法が新しく、事例研究が GPT のようなシステムに向いた AI の用途を扱っていることを考えれば、これは驚くことではないともいえる。より意外なのは、Felten et al. (2021) と Webb (2019) も、言語モデルで最近 AI が進歩する前に開発されたのに、事例研究と合致していることである。分析された手法のなかで、AI 固有の採用の変化と最も頑健に相関しているのも、Felten et al. (2021) と Webb (2019) である。

考察

自動化可能性の予測は、問題の定式化、方法論の開発、検証という多くの面で、いまだ未解決の問題である。「予測方法論の比較」での既存の予測手法の比較に基づき、決定的に重要でありながら未解決の方法論上の問いを三つ挙げる。解釈しやすい予測、現実的な導入、そして自動化と AI の能力の結びつけである。

予測の解釈しやすさについていえば、自動化可能性の評価が自動化の種類、程度、時間軸とどう対応するのかは、はっきりしないことが多い。Eloundou et al. (2023) は、タスクが少なくとも2倍速くなるべきだと定めることで、自動化の種類と程度についての定義を改善した。これを Duckworth et al. (2019) に似た評価基準と組み合わせて、タスクが完全に自動化されるのか部分的に自動化されるのかを明示的に分類したり、高速化の程度を定量化したりできる可能性もある。

導入の細部、すなわちインセンティブ、業務フローの再編、社会の選好は、現実の自動化を大きく左右しうる。初期の研究では、Manyika et al. (2017) が、過去の先例に基づく技術普及の独自モデルを開発した。最近の研究は、タスクの評価に細部の一部を含めることで、導入の問題に部分的に取り組んでいる。たとえば Brynjolfsson et al. (2018) や Eloundou et al. (2023) である。Webb (2019) は特許を使う、よりデータ駆動型の手法をとった。特許は技術の普及とより密接に結びついているかもしれない。これらを発展させる形でも、それ以外の形でも、さらなる研究の余地は大きい。

自動化と AI の能力を結びつけることは、本レビューで指標として分類したすべての手法の土台になっている。その多くは、現在の AI システムの能力に基づく、より短期的な予測を中心としている。Felten et al. (2021) と Tolan et al. (2021) は、将来の進歩とも両立する形で自動化を AI の能力と結びつけ、将来を見据えた予測を提案している。これらの手法は AI のベンチマークへの曝露を評価するが、この曝露がどのように自動化を予測しうるかについては、大きな未解決の問いが残っている。AI のベンチマークと評価の最近の進歩は有望な出発点であり、いずれはベンチマークの成績を自動化可能性とより直接に関連づけられるようになるかもしれない。

これらの方法論上の未解決の問いを踏まえたうえで付け加えると、今後の研究で、既存の手法の予測をさらに詳しく比較することには価値があるかもしれない。そうした比較では、図2と図3を大幅に拡張し、各手法で自動化可能性を左右する要因を比べ、タスクの自動化可能性が職業単位やタスク単位の特徴とどう関わり合うかを検討できるだろう。

結論として、AI によるタスクの自動化を予測する文献は増えつつある。AI の最近の進歩によって、研究者の予測が変わると同時に、この問いの重要性もはっきりしてきた。本レビューでは、経済学の文献の主な予測手法を検討し、それらをタスク特徴分析、タスク・特許マッピング、自動化予測調査に分けて整理した。また、これらの予測を裏づける実証的な証拠として、AI による自動化に応じた採用の変化と、いくつかの分野で AI による支援を調べた事例研究も検討した。予測方法論がこれまでの AI による自動化と整合しているという実証的な証拠はいくらかある。しかし、とりわけ自動化の細部と現実的な導入、そして現在の AI システムの先を予測することをめぐって、多くの課題が未解決のまま残っている。今後の研究が最近の進展をどう発展させていくのかを楽しみにしており、本レビューが、研究者がこの重要な問題に取り組む助けになることを願っている。

謝辞

本研究に協力してくれた Misha Yagudin、Amelia Michael、Anson Ho、Jaime Sevilla、Josh You に感謝する。

付録:各手法の出力例

表3は、さまざまな手法で自動化可能性が高い、または低いと評価されたタスクや職業の例を挙げたものである。これらの例は、図2の大まかな職業単位での比較よりも細かい。自動化予測調査については、どちらの調査も多数の職業を調べてはいないため、表3では代わりにそれぞれの全体的な予測を大まかに要約している。

方法論自動化可能性が高い自動化可能性が低い
タスク特徴分析Autor et al. (2003)
AI 以前の自動化。Acemoglu and Autor (2011) が O*NET の変数に適合させた。
一般事務員
顧客サービス係
精密機器・手工芸・工芸印刷および関連職種の作業者
小規模企業の経営者
運転手および移動式機械の操作員
生命科学・保健医療の専門職
Frey and Osborne (2013) テレマーケター
権原審査員・権原要約作成者・権原調査員
手縫い工
数理技術者
保険引受人
レクリエーション療法士
機械工・設置工・修理工の現場監督者
危機管理責任者
精神保健・薬物乱用のソーシャルワーカー
Arntz et al. (2016) Frey and Osborne と同様
Manyika et al. (2017)、後に Chui et al. (2023) が続報ミシン操作員
農産物の格付け・選別作業者
旅行代理店員
精神科医
議員
最高経営責任者
統計学者
Duckworth et al. (2019) 宝石や貴金属の物理的特性を調べる。
衣服の製造中に布地などの素材を調整する。
丸太(木材)の品質を評価する。
出荷情報を記録する。
大学レベルで人文学の講義を担当する。
オンライン講座を担当する。
組織行動や組織プロセスの科学的研究を行う。
宗教団体の広報戦略を立てる。
Felten et al. (2021)
関連研究:Felten et al. (2023)、Felten et al. (2018)
遺伝カウンセラー
金融検査官
アクチュアリー
購買担当者(卸売・小売・農産物を除く)
ダンサー
フィットネストレーナー・エアロビクスインストラクター
補助作業員(塗装工など)
石工
Brynjolfsson et al. (2018) コンシェルジュ
機械製図工
葬儀業者
信用承認担当者
証券事務員
マッサージセラピスト
動物科学者
考古学者
場内放送などのアナウンサー
左官・石工
Eloundou et al. (2023) 数学者
ブロックチェーンエンジニア
会計士・監査人
ニュースアナリスト・記者・ジャーナリスト
身体的技能は定義上曝露されない(例:農業機械の操作員、運動選手など)。
それほど自明ではないが、科学的技能と批判的思考の技能は曝露と負の相関があった。曝露の低い非身体的な職業の例は挙げられていない。
タスク・特許マッピングWebb (2019) 臨床検査技師
化学エンジニア
検眼士
発電所の運転員
配車・通信指令係
動物の飼育係(農場を除く)
調理補助作業者
郵便配達員
大学の教科担当教員
芸術・エンターテインメントの実演家
自動化予測調査Gruetzemacher et al. (2020)

予測の中央値:

  • 2018年:タスクの22%が自動化可能。
  • 2023年:タスクの40%が自動化可能。
  • 2028年:タスクの60%が自動化可能。
Stein-Perlman et al. (2022)

自動化可能になる累積確率が50%に達する年の予測の中央値:

  • 2032年:トラック運転手、小売販売員
  • 2052年:外科医
  • 2072年:AI 研究者
  • 2102年:最後に自動化可能になる職業

表3:手法別の自動化可能性の評価例。タスク単位、職業単位、あるいは特定の職業やタスクの割合についての明示的な時期の予測など、形式は手法によって異なる。

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