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AIチップの保有者エクスプローラーを公開
原題:Introducing the AI Chip Owners Explorer
計算能力(「計算資源」)は、AIシステムの開発・学習・展開に欠かせない投入物である。世界にはAI向けに最適化された計算資源がどれだけあり、誰がそれを所有しているのだろうか。今年初め、私たちは一つ目の問いを追跡するためにAIチップの販売(AI Chip Sales)エクスプローラーを公開した。今日は、二つ目の問いを追跡するAIチップの保有者(AI Chip Owners)エクスプローラーを公開する。
AIチップの保有者エクスプローラーには、米国の最大手ハイパースケーラーとクラウド企業、フロンティアAI開発企業1社(xAI)、中国の顧客がそれぞれ主要なAIチップをどれだけ所有しているかについての分析を、対話型の可視化で収めている。チップのファミリー別、チップのモデル別の内訳や、所有状況の時間的な変化も示す。AIチップの販売で推定したNvidia、Google TPU、Amazon Trainium、AMD、Huaweiのチップの総量をもとに、アナリストや業界の研究者による推定、企業の財務開示、設備投資、フロンティア規模のAIデータセンターについての私たちの分析を用いて、これらのチップを主要な所有者に割り振っている。
AIチップの保有者エクスプローラーは、研究者、政策立案者、そしてAI計算資源をめぐる戦略的な状況を追うすべての人のための資料として作った。エクスプローラーはこちらから見られる。以下に主なポイントを紹介する。
世界のAI計算資源の大部分はハイパースケーラーが所有している
世界のAI計算能力の大半は、ハイパースケーラーと大手クラウド企業が所有している。「ハイパースケーラー」とは、データセンターの展開で先頭に立つ企業のことで、米国企業ではAmazon、Google(Alphabet)、Meta、Microsoft、Oracleを指す。私たちの推定では、世界のAI計算資源の70%超(総計算能力で見て)を米国のハイパースケーラー5社が所有しており、その筆頭はGoogleである。

Googleは、Nvidia H100 GPUにしておよそ500万基分の計算能力を保有している。これは世界全体のおよそ25%にあたる。その中心は自社開発のTPUチップの大規模な保有で、私たちの推定ではTPUの総計算能力はH100換算で400万基近くになる[信頼区間:310万〜450万]。ほかのハイパースケーラーでは、これまでに取得したAI計算資源の大半をNvidiaのチップが占めている。

Metaを除くハイパースケーラーはいずれも大手クラウド企業であり、計算資源の一部をほかの企業に貸し出している。AnthropicやOpenAIをはじめ、多くのフロンティアAI開発企業は、計算資源のほぼすべてをハイパースケーラーやその他のクラウド事業者から調達している。OpenAIの計算資源は主にMicrosoft、Oracle、CoreWeaveから、Anthropicの計算資源はGoogleとAmazonから来ている。ただし、どちらもこれらのクラウドの全容量を借りていると考えるべきではない。OpenAIやAnthropicのようなフロンティアAI開発企業、そしてGoogleとMetaの社内にあるフロンティアモデル部門が、それぞれどれだけの計算資源を使っているかの分析も近く公開する予定である。
中国の顧客が所有するのは世界のAI計算資源のわずか5%
私たちの推定では、2025年末の時点で、中国企業が合わせて所有しているのは、近年販売された主要なAIチップの累計計算能力のうち5%をわずかに上回る程度にすぎない。これは米国の上位ハイパースケーラーのどの1社よりも少なく、その割合は時とともに下がってきた。中国本土の顧客が購入したNvidia、AMD、Huaweiのチップは、一つの「中国」区分にまとめている。顧客ごとの内訳は今後の課題とした。

中国の計算資源の推定値には、米国の輸出規制に違反して密輸されたチップは含まれていない。先行研究や最近の報道からは、その量が大きい可能性がうかがえる。GrunewaldとFistは、2024年に10万基を超えるNvidia A100とH100が中国に運ばれたと推定しているが、不確実性は大きい。複数の報道によれば、こうした輸入は2025年も続き、数十億ドル以上、少なくとも数万基のNvidiaチップが運ばれた。しかし、チップの密輸が、中国企業と米国のハイパースケーラーの計算資源の差を大きく縮めるのに必要な数百万基に達する可能性は低いと思われる。
ほかの所有量の数値と同じく、この中国の合計には、中国企業が国外で借りているクラウドの計算資源は含まれていない。
注目すべきことに、この1年でHuaweiはNvidiaを抜いて、中国で最大のAI計算能力の供給源となった。ただしこれは少なくとも定格のFLOP/sで見た場合の話であり、実際の性能を反映していない可能性がある。この逆転は、Nvidia H20チップへの規制強化を受けて、Nvidiaの中国への正規の輸出が止まったことによる。Nvidiaは現在、より高性能なH200を中国に輸出する準備を進めている。

今後はこの研究に続いて、AI計算資源が主要な企業にどう割り振られ、どう使われているかについて、さらに範囲を広げた分析を行う予定である。AIチップの販売全体とフロンティアAIデータセンターについての既存のデータと合わせて、世界のAI計算能力の詳細な全体像を示したい。
さらに詳しく知りたい方は、AIチップの保有者エクスプローラーで、方法論、データセットの全体、対話型の可視化、さらなる分析を確認してほしい。
フィードバックをくれたBrendan Halstead、Erich Grunewald、Konstantin Pilz、Theo Bearmanに感謝する。