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感情ヒューリスティックとは、全体としてよい、あるいは悪いという感情が、ほかのさまざまな判断に影響することだ。論理的かどうかにも、自分が気づいているかどうかにも関係ない。原子力の便益を教えられた被験者は、そのリスクを小さく評価しやすい。株式アナリストは、よく知らない株を、全般によいか悪いかで評価する。低リスク・高リターン、あるいは高リスク・低リターンと判断するのだ。リスクとリターンは正に相関するはずだという、通常の経済理論に反している。
ハロー効果は、社会心理学における感情ヒューリスティックの現れだ。ロバート・チャルディーニは、『影響力:科学と実践』1で、次のようにまとめている。
研究によれば、私たちは容姿のよい人に、才能、親切さ、正直さ、知性といった好ましい特性を、自動的に帰属させる(証拠のレビューはEagly、Ashmore、Makhijani、Longo、1991を参照)。2しかも、その過程で身体的魅力が役割を果たしているとは気づかずに、こう判断する。「見た目がよい人は中身もよい」という無意識の想定がもたらす結果には、恐ろしいものもある。たとえば、1974年のカナダ連邦選挙を調べた研究では、魅力的な候補者は、そうでない候補者の2.5倍を超える票を得ていた(Efran、Patterson、1976)。3容姿のよい政治家へのえこひいきが、これほど示されているにもかかわらず、追跡研究では、有権者が自分のバイアスに気づいていないことが示された。実際、調査されたカナダの有権者の73%は、投票が外見に影響されたことを、可能なかぎり強い言葉で否定した。そうした影響の可能性を認めさえしたのは14%だけだった(Efran、Patterson、1976)。4有権者は、魅力が当選しやすさに及ぼす影響を好きなだけ否定できるが、その厄介な影響があることは、その後も証拠で確認され続けている(Budesheim、DePaola、1994)。5
採用の場面でも、同様の効果が見つかっている。ある模擬面接の研究では、応募者の身だしなみのよさは、職務上の資格よりも、好意的な採用判断につながっていた。面接官は、外見が選択に果たす役割は小さいと主張していたにもかかわらず、である(Mack、Rainey、1990)。6魅力的な働き手への優遇は、採用の日だけでなく給料日にも及ぶ。米国とカナダの標本を調べた経済学者は、魅力的な人は、そうでない同僚より給与が平均12~14%多いと見いだした(Hamermesh、Biddle、1994)。7
同じくらい不安を感じさせる研究によれば、司法手続きも、体の大きさや骨格の影響を受けやすい。今では、容姿のよい人は司法制度で非常に有利な扱いを受けやすいことがうかがえる(レビューはCastellow、Wuensch、Moore、1991、およびDowns、Lyons、1990を参照)。8たとえばペンシルベニア州の研究では(Stewart、1980)、9研究者が、74人の男性被告それぞれの容姿の魅力を、刑事裁判の開始時に評価した。ずっと後に裁判記録で事件の結果を調べると、容姿のよい男性は有意に軽い刑を受けていた。実際、魅力的な被告は、そうでない被告の2倍、収監を免れやすかった。別の研究では、模擬の過失訴訟で認められる損害賠償額を調べた。被告のほうが被害者より容姿がよい場合、賠償額の平均は5,623ドルだったが、被害者のほうが魅力的な場合は10,051ドルだった。しかも、男性の陪審員にも女性の陪審員にも、魅力に基づくえこひいきが見られた(Kulka、Kessler、1978)。10
ほかの実験では、魅力的な人は、困ったときに援助を得やすく(Benson、Karabenic、Lerner、1976)、11聴衆の意見を変える説得力も強いことが示されている(Chaiken、1979)……。12
身体的魅力が知性や正直さ、親切さの評価に影響するのは、バイアスの明白な例だ。特に、同じ文章をもとにそれらの資質を評価するときにはそうである。正直さと容姿の魅力の判断が、正当な理由で混ざり合うとは期待しないからだ。一方、私が知的だと思われることのうち、どれだけが正直さによるのだろう? 私が正直だと思われることのうち、どれだけが知性によるのだろう? 真実を見つけることと真実を話すことは、見た目が美しいことと賢く見えることほど、本質的にかけ離れてはいない……。
だが、外見の魅力のハロー効果に関するこれらの研究を見れば、親切さや知性にも、似たハロー効果があるかもしれないと疑うべきだ。非常に知的であるだけでなく、正直で、利他的で、優しく、穏やかにも見える知り合いがいるとしよう。そう見える特性の一部が、ほかの特性の見え方に影響しているのではないかと疑うべきだ。その人は本当に知的で正直で利他的だが、それほど優しくも穏やかでもないのかもしれない。知人たちが、あまりにきれいに悪魔と天使へ分かれるように見えるなら、疑ったほうがよい。
そして、あなたはそんなことをする必要はないと思っているのはわかるが、もしかするとあなたこそ、容姿の魅力的な政治家候補を、ほんの少し余計に疑ってみるべきかもしれない。
Robert B. Cialdini、『影響力:科学と実践』(ボストン:Allyn & Bacon、2001年)。 ↩
Alice H. Eaglyほか「美しいものは善い、しかし……:身体的魅力のステレオタイプ研究のメタ分析的レビュー」Psychological Bulletin 110巻1号(1991年):109–128、doi:10.1037/0033-2909.110.1.109。 ↩
M. G. Efran、E. W. J. Patterson「外見の政治学」(未公刊博士論文、1976年)。 ↩
同上。 ↩
Thomas Lee Budesheim、Stephen DePaola「美女か野獣か?:外見・性格・争点情報が政治家候補の評価に及ぼす影響」Personality and Social Psychology Bulletin 20巻4号(1994年):339–348、doi:10.1177/0146167294204001。 ↩
Denise Mack、David Rainey「女性応募者の身だしなみと人材選考」Journal of Social Behavior and Personality 5巻5号(1990年):399–407。 ↩
Daniel S. Hamermesh、Jeff E. Biddle「美貌と労働市場」The American Economic Review 84巻5号(1994年):1174–1194。 ↩
Wilbur A. Castellow、Karl L. Wuensch、Charles H. Moore「セクシュアルハラスメントの判断における原告と被告の身体的魅力の影響」Journal of Social Behavior and Personality 5巻6号(1990年):547–562;A. Chris Downs、Phillip M. Lyons「魅力と初期の司法判断の関連についての自然観察」Personality and Social Psychology Bulletin 17巻5号(1991年):541–547、doi:10.1177/0146167291175009。 ↩
John E. Stewart「裁判結果の要因としての被告の魅力:観察研究」Journal of Applied Social Psychology 10巻4号(1980年):348–361、doi:10.1111/j.1559-1816.1980.tb00715.x。 ↩
Richard A. Kulka、Joan B. Kessler「正義は本当に盲目か?:訴訟当事者の身体的魅力が司法判断に及ぼす影響」Journal of Applied Social Psychology 8巻4号(1978年):366–381、doi:10.1111/j.1559-1816.1978.tb00790.x。 ↩
Peter L. Benson、Stuart A. Karabenick、Richard M. Lerner「美貌が助けを呼ぶ:身体的魅力・人種・性別が援助を受けることに及ぼす影響」Journal of Experimental Social Psychology 12巻5号(1976年):409–415、doi:10.1016/0022-1031(76)90073-1。 ↩
Shelly Chaiken「伝達者の身体的魅力と説得」 Journal of Personality and Social Psychology 37巻8号(1979年):1387–1397、doi:10.1037/0022-3514.37.8.1387。 ↩