非公式日本語訳 — 原著者・発行元による公式の翻訳ではありません

Eliezer Yudkowsky — 非公式日本語訳

もういいかげん、希望を捨てよう

Just Lose Hope Already

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ケイシー・セリンは24歳のウェブプログラマーで、不動産の経験はまったくなかった。それなのに、異なる州にある8軒の家を同時に買おうとして住宅ローンの申請書に嘘を書き、銀行に220万ドルの借金を負っている。彼は住宅ローンから現金を引き出し(家の価格より多い金額を申請したのだ)、その金を生活費と不動産セミナーに使った。どうやら、不動産相場は上がると見込んでいたらしい。

悲しいのはそこですらない。本当に悲しいのは、彼がいまだに諦めていないことだ。ケイシー・セリンは負けを認めない。破産の申立ても、就職も拒み、不動産で大儲けできると今でも思っている。彼はその後もセミナーに金を使い続けた。9軒目の家のために住宅ローンを組もうともした。いいかい、彼は失敗したわけではない。ただ、学びになる経験をしただけなのだ。

希望を捨てるのを拒むと、こうなる。

こんな振る舞いはただ愚かに見えるかもしれないが、私にはノーベル賞を受賞した2人の経済学者も思い浮かぶ……

……そう、ロングターム・キャピタル・マネジメントのマートンとショールズだ。

LTCMは最初の3年間に巨額の利益を稼いだが、1998年には、同社が利用していた市場の非効率性が消え始めていた。他の人々にもその手口が知られ、通用しなくなったのだ。

LTCMは希望を捨てようとしなかった。年率40%のリターンに病みつきになり、ますます小さくなる利ざやを得るため、借入れを増やしてレバレッジを高め続けた。LTCMのすべてが狂い始めたとき、自己資本は47億2,000万ドル、借入額は1,245億ドル、デリバティブのポジションは1兆2,500億ドルに達していた。

賢く振る舞うための方法は職業によって違う。学ぶべき技能も、従うべき規則も異なる。だから、一般的な学問としての「合理性」を学んでも、現実の成功にはあまり役立たないと思うかもしれない。それでも私には、愚かなことをしないための方法には、職業を越えて多くの共通点があるように思える。小さな失敗を大きな失敗にしない方法を誰かに教えるとしたら、ヘッジファンドでも恋愛でも、その技術はほぼ同じだ。そして、その鍵の一つはこれである。自分が負けたと認める覚悟をしておくことだ。